【新年インタビュー】豊田合成  齋藤克巳社長

2024年01月30日

ゴムタイムス社

 

■ 新年インタビュー

目標達成に向けて足跡を残す

豊田合成  齋藤克巳社長

 昨年8月に中長期経営計画「2030事業計画」を発表した豊田合成。昨年6月に同社社長に就任した齋藤克巳氏に国内海外拠点の状況や事業計画の骨子などについて話を聞いた。
 ◆昨年を振り返って。
 社長就任後、2030事業計画を公表し、その浸透のために国内外の従業員や仕入先の皆さまとの対話集会を26回開催した。11月には14ヵ国・地域から49のグループ会社のトップが一堂に会する「第5回TGグローバルサミット」を5年ぶりに対面で開催。事業計画における営業や技術、地域などそれぞれの戦略に関する主要課題を、グループ全体で議論した。
 ◆生産の状況は。
 ダイハツ工業の認証問題に伴う出荷停止では、当社も生産面では一部影響があるものの、事業全体でみれば影響は比較的軽微といえる。足元では22年度までの半導体部品の供給制約が解消され、高いレベルで安定した生産が続いており、当社の生産活動はいわば背伸びをした状態にある。実力値以上の収益が出ている。
 ◆海外拠点の状況は。
 北米、アセアンなどの地域は概ね順調だが、中国の生産量は変調をきたしている。中国は元々厳しめの生産計画を立てていたため、影響は大きくないものの、もっと伸びてほしいのが本音。中国の自動車生産は伸びているが、特に中資系メーカーのBEVが売れており、現時点では当社の主要顧客の日系メーカーは厳しい環境にあると捉えている。日系だけでなく、中資系のカーメーカーにも製品の提案を進めている。その一環として歩行者保護製品(ポップアップフードアクチュエータ)が中資系のカーメーカーに採用された。中国では100社以上のカーメーカーがあるが、10社程度に絞り込んで重点的に営業活動を進めている。
 ◆その他地域について。
 インドは好調だ。マルチスズキなど日系自動車メーカーが現地生産を増やす計画を掲げている。旺盛な需要に応えるべく、昨年末に現地のエアバッグの開発拠点を「豊田合成テクニカルセンターインディア」として移転・拡張した。
 ◆2030事業計画の骨子は。
 2030事業計画では目指す姿として「高分子の可能性を追求し、より良い移動と暮らしを未来につなぐ会社」と設定した。当社の強みは、創業以来高分子素材を使ってきたことだ。高分子技術を生かし、電動車や自動運転技術などの新しいモビリティの普及と脱炭素社会の実現に貢献したい。
 新しいモビリティの普及に向けた施策では、セーフティシステムを軸にした安心・安全、内外装部品を土台にした快適を提供していく。2030年度に電気自動車(BEV)関連の売上収益比率を40%に引き上げる計画だ。
 ◆今年の抱負を。
 2030年事業計画の3ヵ年計画(24~26年度)を立てる。まずは事業計画の初年度としての2030年の目標達成に向けて足跡をしっかりと残す1年にしたい。
 注力分野の一つであるクルマの電動化や自動運転への対応では、フロントパネルと樹脂製の車体の骨格部分を一体化させたフロントモジュールなどの製品を開発・提案していく。また、4月からお客さま向けの製品展示会の国内外で予定している。日系メーカーをはじめ、海外カーメーカーへも提案活動を強化し、新たな販路開拓を進めたい。

齋藤克巳社長

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