信越化学工業の24年3月期第3四半期連結決算は、売上高が1兆8234億300万円で前年同期比15・7%減、営業利益は5595億2800万円で同30・8%減、経常利益は6157億3200万円で同25・3%減、四半期純利益は4065億2900万円で同29・7%減となった。
シリコーン事業が含まれる機能材料事業の売上高は3266億円で同15%減、営業利益は738億円で30%減となった。汎用製品群で中国経済の不振に起因する在庫調整や市況軟化の影響が続いたが、機能性の高い製品群で収益を補うことに努めた。
生活環境基盤材料事業の売上高は7573億円で同25%減、営業利益は2535億円で同42%減となった。塩化ビニルは中国メーカーによる輸出圧力が収まらない状況が続いたが、価格水準の維持に努めた。か性ソーダについても 同様な状況となった。
電子材料事業の売上高は6425億円で前年同期比4%減、営業利益は2154億円で同11%減となった。一昨年秋以降の調整局面が当該期でも続いたが、 その収束の兆しがようやく表れた。そのような事情のなか、シリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス等の半導体材料を計画通りに出荷することに注力した。希土類磁石も、ハードディスクドライブ向けや産業機器用で調整が続いたが、車載市場ほかへの拡販に努力した。尚、安定供給を期すため手厚く抱えてきた希土材料の在庫について、最近の市況を踏まえた評価減を行った。 加工・商事・技術サービス事業の売上高は968億円で同1%減、営業利益は184億円で同12%減となった。半導体ウエハー関連容器は調整局面が続いたが、自動車用入力デバ イスは自動車産業の回復を受け堅調を維持した。食品包装用塩ビラッピングフィルムはインバウンド需要の増加を背景に外食産業向けの販売が伸びた。
24年3月期通期業績予想は直近に公表されている数値に修正はなく、売上高は2兆3000億円で前期比18・1%減、営業利益は7000億円で同29・9%減、経常利益は7600億円で同25・5%減、当期純利益は5200億円で同26・6%減を見込んでいる。