三菱ケミ、PC樹脂回収実証実験開始 東京海上日動・ABTと連携で

2024年01月29日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルグループは1月26日、ポリカーボネート樹脂ケミカルリサイクルの世界初の事業化に向け、東京海上日動火災保険およびABTと共同で、使用済み自動車のヘッドランプからポリカーボネート樹脂(PC樹脂)を回収するためのスキームについて、2024年1月から関東地区で実証実験を開始すると発表した。
 同社グループでは、九州事業所(福岡県北九州市)にPC樹脂のケミカルリサイクル実証設備が2023年9月に完成、10月より市場から回収された使用済みPC樹脂のリサイクル実証を開始した。
 同実証事業は、環境省の「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」の補助事業として採択されている。
 同社グループは、より高品質なリサイクルPC樹脂を再生することができるケミカルリサイクル技術の確立だけではなく、リサイクルシステムの構築も目指している。そのため、PC樹脂を製品に使用する企業などとの連携や、多方面の市場から回収するスキームの検討を行い、PC樹脂リサイクルシステムの社会実装に向けた準備を進めている。
 同社グループ、東京海上日動およびABTは、2023年2月から国内初の取り組みとして、東京海上日動およびABTが持つ使用済み自動車処理のネットワークを活用し、テールランプなどのアクリル樹脂を回収する実証実験を行っている。
 今回、テールランプよりも回収が困難なヘッドランプについても、回収の実証実験を開始する(2024年1月から関東地区で開始)。実証実験で得られたオペレーション、素材の品質、コストなどの検証結果をもとに、順次全国へ検証エリアの拡大を目指していく。
 同社グループは、これからも高付加価値なスペシャリティ製品を供給するとともに、多くのパートナーと連携しながらそのリサイクルシステム構築にも取り組むことで、サステナブルな社会の実現に貢献していく。

使用済み自動車から回収されたヘッドランプ

使用済み自動車から回収されたヘッドランプ

完成したケミカルリサイクル実証設備

完成したケミカルリサイクル実証設備

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー