住友ゴム工業は1月29日、2023年9月に公開されたTNFD最終提言に基づき、同社事業における自然への依存および影響について初期的な分析を行ったと発表した。
同社は「生物多様性の保全」を解決すべき課題の1つとして認識し、取り組みを行っている。
初期的な分析の結果、タイヤ事業における「森林等の土地利用・開発」、「周辺生態系」、「先住民の権利侵害」、「水資源・排水」の4つを自然に関する重要課題と特定し、これらの課題に対し地域性分析を実施した。
地域性分析の結果、持続可能な天然ゴム調達網の構築を最優先の課題と認識した。この課題に対して、天然ゴムのサプライチェーンをマッピングすることが可能なアプリケーションソフト「Rubberway」を活用したリスク評価・低減活動を実施するなど対策を行い、課題解決に取り組む。その他の重要課題に対しても、順次取り組みを進めていく。
同社グループのサステナビリティサイトでは、TNFD提言が定める「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の4つの柱に則して同社の取り組みを開示している。
「ガバナンス」に関しては、自社の自然関連課題のガバナンス体制に加えて、「住友ゴムグループ人権方針」やGPSNR(Global Platform for Sustainable Natural Rubber、持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム)のポリシーフレームワークを反映した「持続可能な天然ゴム(SNR)方針」を公開しており、方針に基づいた管理を行っている。
「戦略」および「リスクと影響の管理」に関しては、TNFD最終提言で提示されたLEAPアプローチに沿って同社事業における環境への依存と影響、リスクと機会の特定及び評価を行った。
特に自然への依存と影響が大きいと評価されたタイヤ事業は、重要課題の特定および特定された課題について地域性分析の詳細を掲載している。分析に際してはEncoreやAqueductなど、TNFDが検証した公開ツールを使用した。
「指標と目標」に関しては、サステナブル原材料の採用比率を2030年に40%、2050年に100%とする目標など、同社の取り組みについて紹介している。
2023年12月に同社は、TNFDが2023年9月に公表した開示提言(TNFD提言)を採用する「TNFD Adopter」に登録した。2024年 1月にスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において早期採用者(Early Adopter)として公表されている。
今後、リスク評価の深度・範囲を拡大し、さらなる情報開示を進めていく。
2024年01月30日