生産、出荷とも10%増予想
2011年年間のゴムホース生産は、主な需要先である国内自動車生産が7月ま では深刻な減産状態にあったが、その後は回復傾向を示している。土木建設機械と 工作機械は一昨年当初より上昇傾向で推移、今後もこの傾向が継続するものと思わ れる。日本ゴムホース工業会が策定したゴムホースの生産予測量は、一般産業分野 の設備投資も全般的に回復基調に推移した結果、年間では3万5290㌧(新ゴム 量)、前年比2・5%減となる見込み。出荷金額も前年比2・8%減の1310億 円程度と見込まれる。
昨年の輸出入実績については、輸出は全体の50%であるアジア向けが前年対比5 %増と順調であり、その他地域向けも北米向けを除き順調だったため、年間の総輸 出額は前年比約2%増の420億円強が見込まれている。一方、輸入は昨年9月ま での国内自動車用ホースの需要減により、年間の総輸入額は前年並みの110億円 強の見通し。
2012年のゴムホース生産予測量は、3万9200㌧、前年比10%増、出荷金 額は前年比約10%増の1460億円になるものと予測。
品種別にみると、生産構成の約70%を占める自動車用ホースは、国内の自動車生 産台数に不安要素があるが、昨年の減産要因が払拭されるため、年間を通じて増加 傾向をたどるものと予想される。このような環境を考慮の上、年間で前年比15%増 と予測した。
構成比約12%の高圧用ホースに関しては、土木建設機械および工作機械の需要増 が継続するとの見通しに基づき、前年比7・5%増との予測。その他用ホースは、 一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン、送水・吸上用)、マリンホース (大 口径耐油)、LPGホース、耐油ホース(耐圧70
㎏未満)、耐摩ホース、スチーム ホース、灯油ホース、その他ケミカルホースも一般産業分野の需要が前年並みで推 移するとの予想から、年間では前年並みの予測となった。以上の結果、12年のゴムホース生産は、昨年比では比較的安定飛行で推移するも のと見込まれる。
本年の輸出については、円高の影響を加味し、北米向けの減少を見込み、アジア 向けが中心となる展開が想定され、前年比8%減の390億円と予測。輸入は、国 内の自動車用ホースの輸入動向を考慮し、前年比微減の約100億円強程度が予測 された。
2012年の世界経済の成長見通しは、回復の基調が極めて不明瞭であり、米欧 が苦戦する中で世界経済を牽引すると見込まれていた中国やインドなどの新興国に 射りが見える状況が、更なる懸念材料となっている。こうした客観情勢下における 日本経済の緊急課題は歴史的な円高およびデフレ対策であり、政府主導により確固 たる方向性を見出し、景気対策に全力を挙げることとされる。
なお、日本ゴムホース工業会は、国際化の進展に伴い、ISO機関のホース部門 で正式メンバー(Pメンバー)として日本の事情や考え方をISOに反映させるよ う、積極的な働きかけを引き続き推進する。
昨年は10月に日本・横浜で開催された第59回国際会議にホスト国として運営し、 活動した。本年もPメンバーとしての更なる活動を推進していく方針。解決の難し い問題が山積している状況下ではあるが、同工業会としては、今後も世界をリード する重要な機能部品を供給する社会的責任を果たし、環境問題への対応を優先課題 に事業展開する。