出光興産は2月2日、北海道製油所の操業機能を集中管理するプロダクションセンター(PC)を、ZEB(Net Zero Energy Building)化すると発表した。
着工は2月5日、3月にBELS申請を行い、完工は2025年12月の予定となる。
PCは、原油の受け入れから製品の出荷までの操業機能を集中管理しており、定期補修期間以外は昼夜を問わず常時稼働している。そのため、消費エネルギー量は製油所内の他の建物よりも大きくなる。
日本では2050年カーボンニュートラル達成に向けた目標の一つとして、業務部門(事務所ビル、商業施設などの建物)における2030年度のエネルギー起源CO2排出量の2013年度比51%削減が設定されている。同社は操業に伴い多くのエネルギーを消費する PCの ZEB化改修を通し、この目標の実現に貢献する。
ZEB化へ向けた具体的な改修内容の1つ目は、高効率な設備への更新による65%の省エネルギーの実現となる。ZEBの条件として、基準一次エネルギー消費量の50%以上の省エネを達成する必要がある。この条件の達成に向け、PCで使用する空調・換気・給湯・照明を高効率な機器へ更新する。これにより1年当たり、4763GJの省エネとなり、改修前との対比で 65%省エネが可能になる。この省エネ効果は、一般家庭の年間電力使用量を400kWhとした場合、約3300世帯分に換算できる。
2つ目は、ソーラーパネル新設による消費エネルギー以上の創エネルギーの実現となる。消費エネルギーの削減を行ったうえで、残る消費エネルギーを賄うために製油所敷地内の所員用駐車場にソーラーパネルを新たに設置する。
同社は「中期経営計画(2023~2025年度)」において、カーボンニュートラル社会、循環型社会の実現に向け、既存の製造拠点を新たな低炭素・資源循環エネルギーハブへと転換するCNXセンター化構想を掲げている。CNXセンター化構想では、各製油所・事業所の既存設備や技術、人財を活用しながら、次世代エネルギーの供給に向けた実証やサプライチェーンの構築を推進する。
北海道製油所エリアでは再生可能エネルギーを利用したグリーン水素の製造や合成燃料の製造を実証する予定となる。PCのZEB化等の取り組みを通じ、再生可能エネルギーのマネジメントに関するノウハウを蓄積することで、北海道製油所におけるCNXセンター化構想を推進していく。
2024年02月05日