積水化成品工業は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子の高濃度水分散体が作製可能な非フッ素系分散剤の実用化を加速する。同社はこのほど規制対象のフッ素系界面活性剤を用いることなくPTFE粒子の高濃度水分散体を実現できる技術を確立した。
PFASは有機フッ素化合物の総称で、半導体やEVなど多様な分野に幅広い用途で使われてきた。しかし、健康リスクなどが指摘される一部の化合物はEUや日本などで製造・使用が禁止となっている。さらに、環境残留期間が長いことへの懸念などから、欧州を中心に規制対象が広がる動きもあり、その代替素材の開発が注視されている。
その中で、同社は非フッ素系分散剤の早期実用化に注力してきており、2021年に東北大学材料科学高等研究所藪教授の研究成果であるムール貝の接着現象を応用した非フッ素系分散剤を技術導入し、実用化に向けた研究開発を進めてきたが、非フッ素系分散剤の構造を制御することにより課題であった分散性能を向上させ、既存のフッ素系分散剤と同性能の50wt%固形分濃度でPTFEが水分散できる技術を確立した。
同技術の特長は、PTFE粒子など低表面自由エネルギーのフィラーを、高濃度で水分散することが可能。水に可溶なため簡素な工程で水分散体を作製できる。少量の汎用界面活性剤を併用することで、添加量を削減することが可能だ。
今後の展開は「非フッ素系分散剤の市場展開を進めるとともに、PFAS規制に関わる他の素材についても代替となる製品開発を行うことにより、環境リーディングカンパニーとして環境保全に貢献していく方針」(同社)としている。
2024年02月03日