レゾナックは2月1日、化学合成物質を一切配合しない、生物にも環境にも優しいサステナブルな新しいバイオスティミュラント資材(BS)「KROPICO」(クロピコ)の日本国内での本格販売を開始したことを発表した。
クロピコは、その主成分に同社が開発したカニやエビなどの甲殻類や植物など天然物由来原料から生産した数種類の機能性オリゴ糖を配合した液状肥料。世界で初めて、機能の異なるオリゴ糖を数種類処方している。植物の生育を促進し、ストレスを緩和するBSとして販売する。
BSは、欧米を中心に注目を浴びている新しい農業資材カテゴリー。植物が本来持つ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、環境ストレスへの耐性、収穫量と品質、収穫後の状態および貯蔵性などについて、植物に良好な影響を与える。作物は環境ストレスにより本来の能力の7―8割しか収穫できていないと言われている。同社はクロピコのキャッチコピーを「まだ使われていない力があった」とした。キャッチコピーで示すように、植物の生命力を刺激し、通常使われていない作物の持つ潜在力を発現させる。それにより作物の肥料利用率や環境ストレス耐性の向上が図られ作物の増収、健全な育成を通して生産者の営農に貢献する。
本格販売に先立ち、3年にわたって地域を限定して販売し、北海道から九州、海外までの生産者から大きな評価を得ることができた。増収、耐ストレス性向上などの確実な効果が得られるとともに、昨今の高温障害、多雨の異常気象においても健全な栽培ができるようになったとの評価を得ている。また、海外では中国政府所管の国家プロジェクトにも採択され、3年間で肥料利用率向上の成果を得ることができた。
同社は1931年に、国産技術によるアンモニアの工業生産に初めて成功し、国家の最大の課題であった食糧確保に貢献する硫安肥料を市場に送り出した。現在でも硫安の製造を続けており、リン安、尿素などの肥料の原料を製造し、日本の農業を後押ししてきた。
日本の食糧事情は、地球温暖化による農作物の生産条件の悪化や国内の農業人口の減少などの影響で困難に直面している。同社は、今回新規に開発したクロピコを通じて農家の営農を支援し、日本の農業に貢献する。同製品を使用することで、作物の健全な育成が図られ、肥料・農薬の使用量を減らすことができ、それらの生産にかかわる
CO2排出抑制、過剰使用による環境汚染低減が期待できる。また、国内食料自給率向上、食料の安定供給、飢餓の撲滅などSDGsに貢献する。
同社は、日本国内だけでなく、中国、韓国、東南アジアを中心にクロピコを展開していく計画(中国名「果乐百颗」、韓国名「KROPICO―K」)。今後も、拡大が続く世界のBS市場において開発を推進し、農業や食糧状況の改善に貢献する。
2024年02月05日