カネカの24年3月期第3四半期連結決算は、売上高が5647億2800万円で前年同期比0・4%減、営業利益は216億1100万円で同21・8%減、経常利益は193億5100万円で同27・3%減、四半期純利益は134億3800万円で同28・9%減となった。
セグメントのうち、マテリアル・ソリューションズ・ユニットの売上高は2379億1900万円で同5・1%減、セグメント利益は191億1900万円で同14・9%減。欧米の需要停滞が長期化するなか、MOD・MSが回復したが、 Vinylsの市況低迷により減収減益となった。Vinylsは塩ビ・か性ソーダともに中国経済のシュリンクやアジア市況の下落により、低調に推移した。市況回復にはやや時間を要する見通しだが、グローバルニッチ市場において特異技術を磨き、原料・市況の変動に強い体質を強化している。 MODは欧米での高インフレ・高金利が継続し、建築用途の需給調整が長引くなか、3Q以降、非塩ビ向けやアジア市場の需要が着実に回復している。エポキシマスターバッチ(MX)は、EVの構造接着剤向けで採用案件が増加し、新規用途の開発が進んでいる。MSは建築需要が停滞するなか、他にはない機能特性が評価され、販売が堅調に推移した。スプレッド改善の取り組みも寄与し増収増益となった。
クオリティ・オブ・ライフ・ソリューションズ・ユニットは、売上高が1313億9700万円で同0・3%増、セグメント利益は117億5400万円で同10・0%減。スマートフォン市場及びアフリカ頭髪市場の回復遅れにより、増収減益となった。Foamのスチレン系発泡樹脂の需要は低調だったが、価格改定などによりスプレッドが改善した。発泡ポリオレフィンは、自動車向け需要が国内外ともに回復し、EV用途での採用も拡大している。全体としては増収増益となった。E&Iは、スマートフォン市場の需要は徐々に回復しているものの、ポリイミド製品の本格回復は4Q以降と見ている。大型TV向けアクリル樹脂は、一時的な需要調整があったが、有機EL向けポリイミドワニスの需要が堅調に推移した。 Fiberは、アフリカ頭髪市場が1Qに底を打ったが、需要回復が想定以上に遅れ、低調に推移した。軽量・撥水・抗菌など高機能新製品の市場評価は高く、アフリカの未開拓地域への販路拡大と併せて、拡販の取り組みに注力している。
ヘルスケア・ソリューションズ・ユニットは、売上高が534億300万円で同1・4%増、セグメント利益は83億4400万円で同30・4%減。ニュートリション・ソリューションズ・ユニットは、売上高が1410億8200万円で同6・9%増、セグメント利益は83億9500万円で同91・1%増となった。
24年3月期通期の連結業績予想は前回予想から修正し、売上高は7660億円で同1・3%増、営業利益は320億円で同8・8%減、経常利益は287億円で同11・5%減、当期純利益は230億円で同0・0%減を見込んでいる。
2024年02月13日