ADEKAの2024年3月期第3四半期決算は、売上高が2864億9100万円で前年同期比3・3%減、営業利益は240億4600万円で同1・2%増、経常利益は245億8000万円で同1・0%増、四半期純利益は164億5500万円で同12・1%増となった。
化学品事業の売上高は1534億1500万円で同5・5%減、営業利益は180億7900万円で同13・1%減となった。樹脂添加剤全体では、販売数量の減少と固定費の増加により、前年同期に比べ減収減益となった。自動車向けは自動車生産の回復が続き、自動車部材に使用する核剤、光安定剤やゴム用可塑剤の販売が堅調に推移した。 建材向けは北米を中心に住宅内装材の需要が停滞し、塩ビ用安定剤の販売が低調に推移した。
ポリオレフィン樹脂に使用されるワンパック顆粒添加剤や酸化防止剤は、景気減速の影響から中東・欧州での樹脂生産が減少し、競争環境も激化したことから販売に苦戦した。難燃剤は、家電等の需要低迷により筐体等に使用されるエンジニアリングプラスチック向けの 販売が低調だった。一方で、ポリオレフィン樹脂向けの難燃剤は大型家電向けを中心に販売が堅調に推移し、またEV(電気電気自動車)用途での採用が進んだ。
情報・電子化学品全体では、先端半導体向け製品の販売好調とディスプレイ関連材料の持ち直しにより増収となった。利益は原材料価格の高騰、一部製品の販売価格下落に加え、設備投資に伴う固定費の増加もあり、前年同期に比べ減益となった。半導体向けでは、先端フォトレジスト向け光酸発生剤の販売が拡大し、先端DRAM向け高誘電材料の販売も好調に推移した。一方で、第3四半期に入り、半導体メーカーの減産影響を受け、第3四半期は第2四半期に比べ低調に推移した。
機能化学品全体では、売上、利益ともに改善傾向で推移したが、期前半の落ち込みをカバーするまでには至らず、前年同期に比べ減収減益となった。自動車向けでは、省燃費性能に貢献するエンジンオイル用潤滑油添加剤の販売が、米国、アジアでの自動車生産の回復や新エンジンオイル規格の普及拡大により好調に推移した。また、自動車の構造用接着剤向けエポキシ樹脂や車載用電子部品向けエポキシ樹脂接着剤の販売も堅調だった。建築塗料向けでは、反応性乳化剤の販売が、中国での需要持ち直しやインドの住環境の変化に伴う需要拡大を背景に好調に推移した。
24年3月期通期の連結業績予想は、直近に公表されている業績予想からの修正は無く、売上高が4100億円で前期比1・7%増、営業利益が345億円で同6・6%増、経常利益が345億円で同5・9%増、純利益が210億円で同25・2%増を見込んでいる。