三菱ケミカルグループは2月14日、 ピッチ系炭素繊維を用いた高耐熱のセラミックマトリックスコンポジット(CMC)を開発したことを発表した。同開発品は耐熱温度1,500℃という特長から宇宙産業用途を中心に採用をめざしており、2024年2月20日から22日に東京で開催される「2024国際宇宙産業展」および3月5日から7日にパリで開催される「JEC World2024」に出展する予定。
一般的なCMCはセラミック基材をセラミック繊維で強化した複合材(SiC/SiC)で、軽量でありながら高強度、高靭性、高耐熱性といった特長から、宇宙産業用途をはじめ航空や自動車のエンジン周辺部材などに使用されている。同開発品はセラミック繊維の代わりに同社グループが製造するピッチ系炭素繊維を用いたうえに表面に酸素透過バリア層を設けることで、空気中1,500℃で1時間保持しても強度が低下せず、かつてないほどの高耐熱性を有するCMC材料(C/SiC)を実現した。これはJAXA革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラムで参考値として提示されている1,600℃で800秒間の条件にも耐えうるもの。
今後は、2030年代前半に実現をめざしている宇宙輸送システムの往還機熱シールドや宇宙利用・回収プラットフォーム部材への採用を視野にさらなる耐熱性能を向上させる技術開発を進める。
「2024国際宇宙産業展」および「JEC World2024」には同開発品の他に、新開発品の「高耐熱性炭素繊維複合材料」、「2,200℃耐熱ピッチ系炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)」が同社から出展される予定。
2024年02月15日