日本ゼオンは2月16日、出光興産・東ソー・トクヤマ・日鉄ステンレス・同社の5社が、周南コンビナートにおけるカーボンニュートラル実現に向けたコンビナート5社による共同行為について公正取引委員会へ相談を申し入れ、今回、公正取引委員会より、同共同行為について「独占禁止法上問題がない」旨の回答を受領したことを発表した。
これには、現在5社で進めている2030年に向けた年間100万t超のカーボンフリーアンモニア供給体制の確立を目的とした企業間での情報交換に加え、2050年に向けた発電など用役設備の統廃合の共同検討などが含まれる。また、周南地区で検討しているバイオマス化学品への転換・使用済みプラスチックリサイクルなどの資源循環、CO2の固定化・活用(CCUS)といった、コンビナートのカーボンニュートラル化を推進するための包括的な取り組みに対する共同行為も対象となっている。「独占禁止法上問題がない」旨の回答を受領したことに加え、公正取引委員会からはカーボンニュートラルという新しい分野への開かれた議論を推進するため、特別な情報遮断処置(クリーンチームの組成など)は必要ないとの見解が示された。これにより5社は迅速的かつ実効的な検討が可能となる。
周南コンビナートでは周南市の牽引の下、公益社団法人化学工学会と連携した「周南コンビナート脱炭素推進協議会」を2022年1月に設置した。産官学が一体となり、現行の設備・産業インフラなどを最大限に活用することで、2050年のカーボンニュートラルコンビナート(CNK)の実現を目指している。昨年5月には2050年のCNK実現に向けた「周南カーボンニュートラルコンビナート構想」および「周南コンビナートカーボンニュートラルロードマップ」を発表した。
5社はこれらの構想を具体化するにあたり、複数の企業間でのより踏み込んだ共同検討が不可欠になると判断し、昨年3月に公正取引委員会から公表されたガイドライン「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」に基づき、CNK実現のための共同行為に対する独占禁止法の考え方を公正取引委員会に相談してきた。
今回の相談にあたり、公正取引委員会および経済産業省は、脱炭素の実現や産業競争力強化を目的とした意義ある取り組みとして前向きに対応し、公正取引委員会においては、事業者や経済産業省からの情報提供を踏まえ、独占禁止法がその阻害要因とならないよう、さまざまな観点から丁寧に検討した。これにより、2030年に向けた周南コンビナート年間100万t超のカーボンフリーアンモニア供給体制確立の実現に向けた協議をはじめ2050年カーボンニュートラル達成に向けた取組みが加速する。
5社は同共同行為を通し、公正かつ自由な競争の推進と周南地区におけるコンビナートのグリーン化の両立を目指すとともに、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
2024年02月19日