積水化学工業は2月16日、同社の環境・ライフラインカンパニーと東京都下水道サービス、足立建設工業が共同開発した硬質塩化ビニル製の管路更生工法「オメガライナー工法」が第70回(令和5年度)大河内賞において、「大河内記念生産賞」を受賞したことを発表した。
大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、公益財団法人大河内記念会が、生産工学、生産技術、生産システムの研究並びに実施などに関するわが国の業績で、学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した顕著な業績に対して表彰する伝統と権威のある賞。贈賞式は今年3月26日に日本工業倶楽部会館で実施される。
日本の下水道管の敷設総延長は49万kmに達するが、特に20万kmを越える30年経過管での破損が急増し喫緊の対策が必要となっている。
そこで、7割を占める小口径150~400mmの老朽化した下水道管を対象として非開削により老朽管を新管同等に更生できる「オメガライナー工法」を開発した。
同工法の材料には、長期の耐食性、耐薬品性、耐摩耗性に優れる硬質ポリ塩化ビニルを基材に、独自のグラフト重合技術と相溶性改質剤により耐衝撃性、変形に対する柔軟性、高施工性を付与した独自樹脂を使用している。同樹脂をパイプ形状に押出成形し、残留ひずみを制御しつつ断面をオメガ型形状に予め折り畳みドラムに巻き取られた状態で施工現場に搬入される。ドラムに巻かれたオメガライナー工法用パイプを老朽管内に引き込み、その形状記憶性を利用して管内で円筒形に復元し新管を形成するものであり、施工現場で化学反応を必要としない工場生産品であるため、施工面での品質不具合は起こさない。
施工方法、施工機材の開発、管厚・耐震設計理論の構築、検証方法の確立と認定の取得を行い、今日広く老朽管の更生に適用されている。
同社グループは、長期ビジョン「Vision 2030」において、「Innovation for the Earthサステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、「未来につづく安心」を創造する」をビジョンステートメントとして掲げている。管路更生事業はSDGs(9:産業と技術革新の基盤を作ろう・12:つくる責任つかう責任・13:気候変動に具体的な対策を)にも合致しており、人びとの安心が未来につづくよう、老朽化が進むライフラインの更新、社会インフラの維持に、今後も益々貢献していく。
2024年02月19日