胆膵内視鏡シミュレータモデル デンカ、東北大学らと開発

2024年02月20日

ゴムタイムス社

 デンカは2月19日、東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野の菅野武准教授、正宗淳教授の研究グループと同社が、ユー・エーとの共同研究の成果をもとに、「Medical Rising STAR」プロジェクトの第2弾として実際の内視鏡と治療用具を用いて、胆管挿管~十二指腸乳頭切開~胆管結石除去の包括的な流れを学習でき、推奨されない方向や過剰な乳頭切開時の出血合併症を体験できるシミュレータを開発したと発表した。
 乳頭切開を含む胆膵内視鏡検査と治療に用いられる後方斜視鏡は、十二指腸乳頭を正面視しやすくするために、通常の胃カメラ(上部内視鏡)や大腸カメラ(下部内視鏡)とは異なる向きにカメラのレンズが設置してある。上下部内視鏡では内視鏡の進行方向と視野が一致するため直感的に位置を理解して操作しやすいが、進行方向と視野が一致しない後方斜視鏡での処置には、さらなる慣れと訓練が必要。
 このように重要かつ難易度の高い手技である胆膵内視鏡は、内視鏡的胆管膵管造影(ERCP)および正しい方向への乳頭切開術(EST)を学ぶ機会が、患者を対象とした治療の場面が中心であった。そこで、消化器病態学分野の菅野武准教授、畑山裕医員、滝川哲也助教、正宗淳教授、東北大学クリニカル・スキルスラボ荒田悠太郎助手らは、同社、ユー・エーとの共同研究として、実際の電気メスを用いて切開でき不適切な切開時に出血を起こす交換可能な乳頭部分と、繰り返し使用でき後方斜視鏡の操作感をリアルに再現している管腔部分を組み合わせたシミュレータを開発した。
 今回開発したシミュレータは実際の処置同様に乳頭部分を映した内視鏡画面と、胆管膵管を造影したX線透視像画面に類似した疑似透視画面を同時にモニタに投影でき、臨床とよく似た画像情報を提供している。また、合成樹脂やシリコンなどを素材としていることから、動物を用いた練習と比較して、屠殺や感染リスクの問題解決にも貢献する。
 この共同研究は侵襲的内視鏡手技に対するシミュレータ開発「Medical Rising STAR」プロジェクトの第2弾であり、今後販売を目指し準備している。患者を対象としない学習方法の確立により、患者安全の推進と内視鏡技術の発展に寄与し、同シミュレータを用いた、若手医師への教育プログラムの開発とその効果の検証を進めている。

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