東レの超高強度炭素繊維 2023年度高分子学会賞受賞

2024年02月22日

ゴムタイムス社

 東レは2月21日、同社が開発した「ナノ構造制御による超高強度炭素繊維」が、公益社団法人高分子学会が授与する「2023年度高分子学会賞(技術部門)」を受賞したと発表した。
 同社は、独自の炭素繊維のナノスケールでの構造制御技術を深化させることで、従来品の性能を大きく上回る超高強度炭素繊維の創出に成功した。今回の受賞は、それによって、カーボンニュートラルに貢献する素材である、炭素繊維の持つ可能性の拡大に貢献していることが評価されたもの。
 今回の受賞題目は「ナノ構造制御による超高強度炭素繊維の開発」で、受賞者は同社複合材料研究所主任研究員渡邉潤氏、同主席研究員兼トレカ技術部主席部員田中文彦氏、同部員中谷達也氏。
 炭素繊維は、航空宇宙用途やスポーツ用途において、その強度・弾性率の高さ、軽さを活かした展開を進めており、環境負荷低減にも寄与してきた。近年では、風力発電用大型ブレード・水素貯蔵用圧力容器・軽量な航空機部材などを通じてその貢献を拡大してきている。今後、炭素繊維市場は2035年に現在の3倍以上に拡大することが見込まれている。
 現在、高強度炭素繊維として製造・販売しているトレカT1100やT800は、航空・宇宙分野の構造材やスポーツ用品などに使用されており、これらの分野では、サステナブルな社会に向けた課題を解決するために、炭素繊維のさらなる特性向上が期待されている。そこで、同社は、最先端分析技術を活用した、独自のナノスケールでの構造制御技術を深化させ、破壊が起こりにくい内部構造を設計・実現することによって、従来品の性能を大きく上回る超高強度炭素繊維トレカT1200の創出に成功した。
 新たに創出した超高強度炭素繊維トレカT1200は、炭素繊維市場の拡大、サステナブル社会実現に対して、大きな貢献が期待されることが高く評価された。

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