UBE、米国DMC・EMCの事業化へ プラント建設投資及び子会社へ増資

2024年03月04日

ゴムタイムス社

 UBEは2月29日、同日開催の取締役会において、米国におけるジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)のプラント建設を決定するとともに、その製造販売会社とすることを目的として同社が間接的に100%出資しているUBE C1 Chemicals America,Inc.社(UCCA)に対して増資を行うことを決議したと発表した。
 同社は、米国ルイジアナ州におけるDMC・EMCの事業化を目指し基本設計を行ってきたが、このたびDMC年産10万トン、およびDMCから誘導されるEMC年産4万トンのプラントの建設を決定した。設備投資金額は合計約5億米ドル、2026年7月完工、同11月稼働開始予定。
 DMC・EMCはリチウムイオン電池の電解液溶剤の主要成分であり、DMCは半導体製造プロセスの現像液などでも使用される。米国では電気自動車の普及やデジタル化の進展に伴い今後も需要拡大が見込まれる一方、全量を輸入に依存している。同社は、同プラント建設により米国での安定供給を実現するとともに、将来はC1ケミカルチェーンとしてポリカーボネートジオール(PCD)や水系ポリウレタンディスパージョン(PUD)など環境貢献型製品への川下展開を計画している。
 同社のDMCは独自の気相ナイトライト法で製造され、エチレン由来の製法に比べて低エネルギー、高品質、副生物が少ないという特徴がある。米国では安価な天然ガスを原料としてコスト競争力を高めると共に、既存のプラントよりCO2排出量を低減し、リーデングカンパニーとして確固たる地位を築く。
 またこれに先行して、同社は2023年11月13日にルイジアナ州にて米国におけるDMC・EMCの製造販売会社となるUCCAを設立しているが、プラント建設に係る資金に充当することを目的として、UCCAに対し米国持株会社UBE Corporation America Inc.(UCAI)を通じて2億米ドルの増資を行うこととした。この増資によりUCCAの資本金の額は同社の資本金の額の100分の10以上に相当することになるため、UCCAは同社の特定子会社となる予定。
 なお、現時点で確定している投資インセンティブとして、運転開始後10年間総額約8千万米ドルの税額控除をLouisiana Economic Development Board of Commerce and Industry(ルイジアナ州経済開発局)より承認されている。
 出資完了予定日は2024年9月を予定しており、同件による同社の2024年3月期連結業績への影響は軽微としている。

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