三菱ケミカルグループは3月18日、同社のポリビニルアルコール(PVOH)の特殊銘柄ニチゴーGポリマーの代表グレードであるBVE8049Pが、欧州のリサイクル認証機関であるInstitute cyclos―HTP GmbH(cyclos―HTP)により、リサイクル可能な素材として認証を取得したと発表した。
ニチゴーGポリマーは、水溶性、ガスバリア性、溶融成形性に優れた生分解性のビニルアルコール系樹脂であり、水に溶かしてフィルム上にコーティングすることもできるバリア材料。これらの特長を生かして、乾燥食品用のバリア包装材や生分解性樹脂との組み合わせによる生分解性バリア包装材などに使用されており、食品の風味や品質を長持ちさせることでフードロス削減に貢献することから、欧州を中心に需要が拡大している。一方で、食品包装材をはじめとする樹脂製品は、資源循環の観点から素材のリサイクル性が求められており、包装材として広く使用されるポリエチレンなどの樹脂のリサイクルに影響を与えないバリア材料の要求が高まっている。
今回のcyclos―HTPによる評価では、ポリエチレン系多層包材において、ニチゴーGポリマーBVE8049Pの含有率が5wt%以下であればリサイクルが可能との結果が得られた。なお、一般的にPVOHは、ポリエチレン系多層包材においてリサイクルに適さない素材とされている。このことから同認証の取得は、ニチゴーGポリマーが従来のPVOHとは異なり、リサイクル性に優れたバリア材料であることを示すものであり、フードロス削減のみならず、資源循環にも貢献する素材であることをあらためて裏付けたものとなる。
需要拡大に応えるため、ニチゴーGポリマーを含むPVOH特殊銘柄について、2024年10月から岡山事業所(岡山県倉敷市)にて新プラントを稼働し、生産能力を現行の約2倍に増強する予定。
同社グループは、今後もニチゴーGポリマーの展開を通じて、高付加価値な機能商品を供給するとともに、サステナブルな社会の実現に貢献していく。
2024年03月19日