積水化成品工業は、水平リサイクル「発泡スチロールto発泡スチロール」の実証事業を開始した。物流資材や断熱材として広く普及する発泡スチロールは、1970年代から業界全体でリサイクル活動に取り組み、国内リサイクル率は92・3%(2022年度実績)に達している。今後は資源の有効利用やCO2排出量削減の観点から、マテリアルリサイクル比率(51・8%)をさらに引き上げる必要があり、額縁やボールペンなど非発泡プラスチック製品へのカスケードリサイクルを行うだけでなく、水平リサイクルの普及拡大が重要だ。
同社グループでは、繰り返しリサイクルが可能な原料「エスレンビーズRNW」(再生原料を使用した発泡ポリスチレンビーズ)の量産化に向け、実証事業を開始した。使用済み発泡スチロールを、インゴット(溶解減容処理後の塊)からペレット(粒状樹脂)化し、スチレンモノマーと重合含浸させて、発泡スチロールの原料である「エスレンビーズRNW」に再生するスキームを構築し、令和8年度の実用化を目指す。
同取り組みは「 環境省令和5年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)」に採択された。
「エスレンビーズRNW」の製造時に品質調整を行うことで、バージン原料と同等品質の再生原料を量産化する技術を確立し、工業物流資材や土木関連の各種製品への再生を目標とする。その後、安全性や品質への検証を進め、食品容器や魚函など食品関連材への採用も想定している。
同社グループは、創業以来培ってきた発泡・重合技術を進化させるとともに、環境と共生するモノづくりを展開し、令和5年2月には発泡スチロール使用量の約50%を占める食品関連材の臭気除去技術を確立するなど、
水平リサイクルに向けた技術開発を進めてきた。今後、環境・社会課題解決型事業への転換に向けて、サーキュラーエコノミーを軸に据えた事業構造への変革に注力し、「人と地球の、美しい未来へ。」の具現化に取り組んでいくとしている。
2024年03月19日