クラレ、26年に稼働開始　エバール、新プラント建設　

　クラレは３月26日、シンガポール現地法人のクラレアジアパシフィック社（クラレ１００％出資会社、シンガポールジュロン島）内にＥＶＯＨ樹脂（エバール）の生産プラント建設を決定した。生産能力は年産１万８０００トン（前工程は将来の増設を視野に年産３万６０００トン能力で建設。後工程は２期に分け、今回１期分を実施）を計画。稼働開始は26年末で、投資額は４１０百万米ドル。
　現在、同社は日本（岡山１万トン）、欧州（ベルギーアントワープ３万５０００トン、米州（テキサス州ヒューストン５万８０００トン）でエバールを生産している。市場拡大が見込まれる中、２０２４年～２０２６年にかけて欧州で５０００トン、米州で５０００トンの生産能力を増強する。そして今回アジアで１万８０００トンの増強を発表し、２０２６年末の生産能力は13万１０００トン（２０２３年比で２万８０００トン増）に拡大する。また、東南アジアでは地域テクニカルサービスを拡充していく。
　１９７２年に世界で初めて同社が開発・事業化したＥＶＯＨ樹脂（エバール）は、最高レベルのガスバリア性を有する機能性樹脂。酸素などの気体を通しにくく、内容物の劣化を防ぐことから食品包装用途に広く使われており、フードロス削減に貢献している。
　近年、循環型経済（サーキュラーエコノミー）の観点から、食品包装用途における環境配慮型製品のニーズが高まっており、リサイクル可能な包装材料へのシフトが望まれている。特に、欧米ではポリオレフィンのリサイクルを妨げないバリア材としてエバール樹脂の引き合いが増えており、エバール樹脂の需要は世界的に拡大していくと見込んでいる。