バンドー化学が販売開始 高負荷対応ダブルコグベルト

2024年04月01日

ゴムタイムス社

 バンドー化学は3月29日、大型バギー、大型スクーター等に使用する変速ベルトの新たなラインアップとして、セルロースナノファイバー(CNF)複合化ゴムを適用した、高負荷条件で使用可能なダブルコグベルトの販売を2024年4月から開始すると発表した。
 伝動ベルトは、幅方向には高剛性を、長さ方向には柔軟性が求められ、これらの相反する特性を極大化することで高い伝動能力と耐久性を併せ持った理想の性能を発現する。また、ベルト使用時の変形に伴うエネルギー損失を抑制することで高効率な伝動特性を有する優れた省エネ性能を発現する。
 同社は、これらの必要な性能を満たすべく、カーボンブラックや繊維材料等の補強材料をゴムと複合化する配合設計を行うなかで、将来的な石油資源の供給リスク克服を見据え、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有する植物由来の新素材であるCNFに着目し、その特長を活かすためのナノ分散技術の開発を進め、ゴムの補強材料としての複合化に成功し、従来品と比べ伝動能力、耐久性に優れた世界初の伝動ベルトを開発した。
 近年、大型バギーと称される全地形対応車 (ATV) や多用途作業車 (UTV)は、エンジンの高排気量化・高出力化が進み、無段変速機構で使用するベルトに対する要求品質も高まっている。この要求に応えるべく、CNF複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルトの開発を進め、従来製品に対して伝動能力を大幅に向上させ、業界最高水準の低発熱性による長寿命化を実現した。
 今後も大型バギー、大型スクーター等の伝動ベルト式変速機構搭載車両の高出力化を支える製品としてユーザーの要望にお応えするとともに、長寿命化や駆動システムのコンパクト化によるCO2排出量の削減を通じて、持続可能な低炭素社会の実現にも貢献していく。
 なお、CNFを用いた伝動ベルトの実用量産化においては、化学品メーカーである東ソーと連携して実施した、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/研究開発項目(1)革新的CNF製造技術の開発」の成果を一部活用している。

CNF複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルト

CNF複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルト

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