東ソーは3月29日、同社が製造・販売するクロロプレンゴム「スカイプレン」にセルロースナノファイバー(CNF)を複合化した新グレード「SGシリーズ」を開発し、バンドー化学の伝動ベルト用材料として採用され、販売を開始したと発表した。
同社は1971年よりクロロプレンゴム「スカイプレン」の製造・販売を行っている。スカイプレンの特徴は耐候性、耐オゾン性、耐油性、耐薬品性、難燃性などに優れ、機械的強度も兼ね備えた特殊合成ゴムで、ベルト、ブーツ、ホース等の自動車ゴム部品、各種工業用ゴム製品、電線、スポンジ、接着剤等の幅広い分野で使われている。
CNFは鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有するバイオマス由来の高性能素材。CO2を主とした温室効果ガス排出削減に繋がるため、カーボンブラックなどの化石燃料由来のゴム補強材の代替材料として期待されている。
混練などの従来プロセスでは、CNFのゴム材料への混合が難しいことが技術的な課題とされていた。今回開発した「スカイプレンSGシリーズ」は、独自技術によりCNFをクロロプレンゴムへナノレベルで均一に分散させており、CNFの持つ補強効果をゴム材料へ応用することが可能となった。
同社では、引き続き幅広い産業での社会実装に向けて用途拡大のための顧客提案を進めていく。また、将来的な環境配慮型製品へのニーズ高まりを見据え、さらなる量産に向けた製造技術開発を加速させ、安定品質での大規模生産体制の確立を目指す。同製品の量産化では、CNFの持つ特性に着目し、伝動ベルト製品への応用を検討していたバンドー化学と協業での取り組みを基に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/研究開発項目①革新的低コストCNF製造技術の開発」の成果を一部活用している。両社は同事業において製造コストを大幅に低減させるための製造プロセス技術の開発や、用途開発の促進、安全性評価などを行ってきた。
2024年03月29日