レゾナックは3月29日、AI半導体などの高性能半導体向け材料の生産能力を従来の3・5~5倍に拡大すると発表した。増産するのは絶縁接着フィルム「NCF」、及び放熱シート「TIM」で、いずれも高性能半導体向けに既に採用されている。投資金額は約150億円を計画し、2024年以降順次稼働開始を予定している。AI半導体市場は2027年に2022年の2・7倍に拡大すると予想されており、同社はタイムリーに生産能力を拡大させ、市場での優位性をさらに強固にする。
NCFは、高性能半導体に搭載されるHBMと呼ばれるメモリーを、接続しながら多段積層するために使用される。NCFには接着力とデバイスの接続信頼性に加え、サブミクロン単位の厚み精度が要求される。同社はNCFの前身にあたるダイボンディングフィルムの開発・製造で長年培った技術、及び経験を生かし、要求される品質を実現している。
TIMは、高性能半導体の放熱用に使用される。TIMには、発熱するチップの熱を素早く放熱する熱伝導性と、繰り返しの温度変化に耐える信頼性、及びチップと冷却器の微小な凹凸に密着する柔軟性が求められる。同社は、独自技術を使い、柔軟なシート材に特殊な形で黒鉛粒子を加えることで、要求される性能を達成している。
現在、高性能半導体を前工程で進化させることは、技術とコストの両面から限界が近づいているとも言われている。そのため近年では、後工程で複数のチップを高密度に実装し、高機能化を実現する2・xD、3Dパッケージがキーテクノロジーとなっている。
同社は、パッケージングソリューションセンター(PSC)、及びJOINT2コンソーシアムを活用して、次世代に向けた半導体パッケージ材料の研究開発を推進している。今後も、国内外の半導体関連企業とグローバルに共創し、高性能半導体の進化を、最先端の材料で支えていく。
2024年04月01日