クラレが入社式開催 社長が新入社員にメッセージ

2024年04月02日

ゴムタイムス社

 クラレは4月1日、入社式を行った。入社式における川原仁社長のメッセージは以下の通り。

皆さん、入社おめでとうございます。本日、高い志と希望に満ち溢れた皆さんをクラレグループに迎えることができて、たいへん嬉しく思います。今日の良き日を記念して、クラレグループを代表して挨拶を申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症による経済活動・日常生活の制限がほとんどなくなり、落ち着きを見せる一方で、ロシア・ウクライナ情勢や世界的なインフレ、国内では大きな自然災害など不安定な状況が続いています。皆さんは学生時代に生活様式の激動を経験し、苦労しながら勉学・課外活動に精を出されてきたと思います。
 そんな変化を耐え抜いてきた皆さんが今日、クラレグループの一員として我々の仲間となることを、非常に頼もしく感じています。

 会社に入り、これから先何年も仕事をしていく上で、まず一番大事なことは、良い心身の状態を保つこと、健康であることです。これは皆さん自身が幸せな生活を送り、働き甲斐を感じて質の高い仕事をするための基本です。
 体調がすぐれないと仕事で集中力を欠き、能率が上がらない、事故やミスを起こしやすい、といったことにもつながります。常日頃から健康管理には十分に留意するようにしてください。皆さんが安心して健康で働けるように、会社も職場の環境や制度を整備しています。

 次に、皆さんは今日から社会人としての一歩を踏み出しますが、一人ひとりが「クラレグループの一員」であることを常に心がけてほしいと思います。社会人としての基本的な倫理観、道徳心、自立力を身に付けることはもちろん、社会の中で責任あるクラレグループの一員であることを意識した行動をとってください。
 その結果として、皆さんは「応援される人」となり、皆さんの周囲の人間は喜んで様々なサポートをしてくれます。ぜひ、皆さんには「応援される人」であってほしいと考えています。

 会社は皆さんが最大限パフォーマンスを発揮し、成長するためにサポートをしていきますが、それを当然と考えるのではなく、それに応えて自分自身の存在価値、自分でしか成しえないことを残していってほしいと思います。

 さてここで、これから皆さんが実際に職場で仕事に取り組む際に、私が自らの経験も踏まえて大事だと考える3つの心構えについてお話しします。

 1 つ目は「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」ということです。
 初めて仕事をするわけですから、皆さんが最初から多くを知っているはずもなく、それは職場にいる周りの人達もよく理解しています。初めて取り組む仕事に対して最初から分かったふりをせず、謙虚に教えを請うという姿勢が大切です。
 私自身の経験からしても、入社して最初の頃は「何を知らないのかさえ分からない」状態だったと思います。目の前に見えていることだけではなく、他にも目に見えない多くの「知らないこと」があるはずですから、とにかく分かるまで聞きまくる事です。そしてもちろん、聞いて教わったことはしっかり覚える努力をして下さい。しばらくは、聞き魔、メモ魔に徹してもらっても結構です。
 聞くのを躊躇して変に知ったかぶりをしていると、それが後々にミスやトラブルにつながる事もあり得ます。職場に配属されると、周りの先輩や上司たちは忙しそうにしていて、質問ばかりしてはいけないような気持ちになるかも知れませんが、そのようなことは有りません。彼らも、自分たちも最初は同じことを経験しており、また、皆さんがいち早く仕事を身に付けてくれた方が、結局は会社全体の為になる事を分かっているので、親切に教えてくれるはずです。

 2つ目は「与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす」ということです。
 実際に職場に配属されると、それまで描いていた仕事のイメージとは違う事は往々にして有ります。しかしながら、皆さんに与えられる仕事は、それぞれに皆さんの今後のキャリアを見据えて、その時点での習熟度を勘案しながら、上司が良く考えた末に用意されたものです。
 全ての仕事には必ず意味があります。与えられた仕事や役割に対し、少なくとも何年かは真摯に取り組んでみることが大切です。小さな一つひとつの積み重ねが、結局は自分の力となっていることが多いのです。どんな仕事も受け容れ、誠実に取り組んで結果を出すことで、周りの人は皆さんへの信頼を高めます。そうすることで、次にはもう少し大きな、重要な仕事を任せてもらえるようになるのです。

3つ目は「自己研鑽を続ける」ということです。
 学校を卒業したから勉強は終わりだ、ではなく、会社に入り、これからが本当の勉強だと考えて欲しいということです。社会人としての基本的な教養を身に付け成長するためにも、色々なジャンルの本を読んだり、他人の話を良く聞いたり、外部の講習や研修に積極的に参加したりして、見聞を広め、知見を深め、考える力を養ってほしいと思います。
 中でも、出来るだけ多くの本を読むことは、手軽に続けられることですのでお勧めします。インターネット、SNSなどのリアルタイムの情報は、即時性はありますが、その分、十分な調査と事実に基づく分析や検証、深い洞察に欠けるところがあります。読書は、少ないお金で古今東西の様々な人の考えや出来事に触れることができ、豊富で充実した情報と教訓が詰まっている、非常に有意義な手段です。
 自己研鑽への投資は、一番確実に自分にリターンをもたらす投資です。将来、絶対に無駄になることは有りませんので、是非意識をして自分を高める努力を続けてください。

 以上、仕事をする上でのアドバイスとして、私の経験も踏まえて3つお話ししました。「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」こと、「与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす」こと、そして「自己研鑽を続ける」ことです。仕事に臨む際の心構えとしていただき、出来れば1年後、2年後、そして数年後に振り返りをしてみて下さい。

 さて最後に、新入社員の皆さんに期待することをお伝えしたいと思います。昨今、社会の潮流として企業の社会的責任や、社会貢献への姿勢がより強く問われるようになってきましたが、クラレには創業以来ずっとそれらを体現してきた歴史があります。

 当社の創業者である大原孫三郎は「社会から得た利益は、社会に還元する」という基本理念から、会社の経営基盤を固めつつ、様々な社会福祉活動や公共的な事業を行いました。2 代目社長の大原總一郎もこれを受け継いで、さらに「企業が得るべき利潤は技術革新による利潤、社会的、国民経済的貢献に対する対価としての利潤に限る」という理念を掲げ、それを実現するために独自の卓越した技術にこだわり、様々な困難を乗り越えて数々の事業を立ち上げ、会社を発展させました。
 その後も当社は、「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命を掲げて、独創性の高い技術をベースに多くの世界ナンバーワン、オンリーワンの製品や事業を生み出し、自然環境と生活環境の向上に貢献してきました。
 ここで、皆さんに期待したいことは、「挑戦を続けること」です。「世のため人のため、他人のやれないことをやる」ためには、日常の仕事において「難しい」「大変」と諦めることなく、どんなに小さいことに対しても積極的に挑戦してほしいと思います。失敗してもかまいませんから、とにかく「やってみる」ことが重要です。その小さな挑戦の積み重ねが、大きな挑戦に、そして他人のやれないことにつながるのです。

 皆さんは本日、このような歴史と企業文化を持ち、さらに進化と成長を続ける当社に入社します。これからはクラレグループの一員として、この継承されてきた素晴らしい資産を引継ぎ、益々発展させるために一緒に考え、未来に向けて共に進みましょう。

代表取締役社長川原仁氏

代表取締役社長川原仁氏

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