三洋化成は4月15日、再生可能炭素に特化した英国のディープテクノロジー企業であるエコニック社と覚書を締結したと発表した。
同締結に伴い、同社は、持続可能で高機能なポリウレタンに使用すべく、エコニックのCO2ポリオールの製造技術を評価していく。両社はポリオールの製品開発やエコニックのCO2利用技術の活用を進めることで、バリューチェーンの脱石化を図り、同社の重点分野であるカーボンニュートラルの向上を目指す。
カーボンリサイクルはCO2を持続可能な炭素源として有効活用する技術で、カーボンニュートラルを実現するキーテクノロジーとして期待されている。
エコニックはCO2をポリオールの骨格に組み込む独自の触媒とプロセス技術を有しており、その技術を使用すれば、カーボンフットプリントを最大30%削減することが期待できる。さらにエコニックのCO2ポリオールを製造する技術は、既存の生産工場を活用することで製造プロセスの低コスト化が実現でき、性能とコストを犠牲にすることなく実用化につなげることができる。
ポリオールはポリウレタンを製造するための二大原料の一つとなる。ポリウレタンは、自動車、家具、マットレス、建築、工業用途の高性能フォーム、コーティング、接着剤、シーラント、エラストマーなど幅広い分野で使用しており、ポリウレタンの石油由来原料への依存度を低下することは、CO2排出量削減へのインパクトが高く、素材の持続可能性をさらに高めることになる。
同社は、1960年にポリプロピレングリコール(PPG)の商業生産を開始して以降、アルキレンオキシド付加技術のパイオニアとして数々の製品を開発しており、国内トップレベルのシェアを持っている。日本のポリウレタン用ポリオールのトップメーカーとして、エコニックの各種ポリオール技術を導入することで、ユーザーのポリウレタン製品の性能と競争力を大幅に向上させ、ポリウレタン市場の持続的成長に貢献することを目指している。
同社は、エコニックの技術を今後数年以内に事業化すべく評価を進める。さらに、同ポリオール技術をポリウレタン以外にも活用し、新たな持続可能な取り組みへの起点としていく計画となる。同社は、今回のCO2ポリオール技術導入により、同社が取り組んでいるカーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として循環型社会に必要となる技術の開発を加速するものと考えている。
2024年04月16日