SABICは4月16日、高耐候性を特徴とするLNP ELCRES SLX共重合体のポートフォリオの新製品として、塗装レスで優れた美観と高耐久性を実現する「LNP ELCRES SLX1271SR」樹脂を発表した。LNP ELCRES SLX1271SRは耐傷つき性、耐擦傷性や高光沢な表面仕上げを特徴とし、自動車業界に外装部品の新たな材着(材料着色)成形ソリューションを提供するもの。また、LNP ELCRES SLX1271SR樹脂は優れた耐候性、持続的なUV安定性、良好な機械的特性を兼ね備えている。この新しいソリューションは、外装部品の魅力的な外観を長期にわたって保持するとともに、塗装が不要なことから環境および潜在的なシステムコストにおいて優位性を提供する。
同樹脂は世界中の卓越したイノベーションを称える賞である「2024Edison Best New Product Awards(エジソン賞)」の先端材料部門において最終選考に選ばれている。一般的な自動車のライフサイクルを考えた場合、揮発性有機化合物(VOC)の大部分(95%)は塗装工程で排出されていることが、複数の調査結果によって示されている。
同樹脂は、自動車外装部品のVOC排出量を削減すると同時に、塗装ポリカーボネート(PC)樹脂や塗装PC/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)樹脂といった既存のソリューションに匹敵する優れた美観を実現する。一例として、耐傷つき性と光沢保持の点で同樹脂は、ウェット・スクラブ(洗車)試験において塗装ポリマーと同等の性能を示した。
さらに、同樹脂は他の塗料レス熱可塑性樹脂と比べ、優れた美観をより長期間(最長10年以上)にわたって維持することも可能である。その理由の1つとして、樹脂自体が自己保護層を形成し継続的に紫外線を吸収することで、色と光沢を保持することが挙げられる。
同樹脂は、ピアノブラックなどの鮮やかな材着成形と高光沢表面仕上げを実現するよう配合されている。同社は競合材料である強化PMMA樹脂およびPMMA/ASA(アクリロニトリルスチレンアクリレート)混合樹脂との比較試験を実施した。その結果、同樹脂はPMMAやPMMA/ASAなどのアクリル系樹脂(耐熱性:最高80°C)と比べ、機械的性能だけでなく光沢、色の深み、耐熱性(最高120°C)についても優れていることが示された。
この耐傷つき性に優れた新グレードは同社の耐候性樹脂ポートフォリオを拡張するもので、高光沢や不透明色だけでなく、クリア(透明)や着色透明色など幅広い製品が取り揃えられている。同社の同樹脂は、スポイラー、グリル、外装ミラー・ハウジングなどの自動車外装部品のほか、電子機器のハウジングやソーラーパネルなどの屋外インフラ部品にも適している。
2024年04月19日