デンカは4月17日、2024年4月9日(現地時間)、アメリカ環境保護庁(EPA)が、同社米国子会社のデンカ・パフォーマンス・エラストマー社(DPE、同社出資比率70%)を含むクロロプレンゴム製造施設に適用される、新たな化学物質の大気排出規制を発表した。
現在精査中ではあるが、新たに発表された化学物質の大気排出規制のFACT SHEET(概要資料)によれば、米国におけるクロロプレンゴム製造施設に対して、各種の排出対策を取ることにより、クロロプレンモノマー排出量の大幅な削減を求める内容となっており、官報公示日(現時点では未公示)から60日後に施行され、更に同該対策を取るまでの猶予期間は施行日から90日以内となっている。
新規制は、EPAが行ったRTR(Risk and Technology Review)の結果を受けたものであり、そのベースはEPAが2010年に統合リスク情報システム(IRIS/Integrated Risk Information System)で行ったクロロプレンモノマーの発がん性評価が用いられている。
これに対し、DPEは、IRISにおいてクロロプレンモノマーの発がん性が過剰に評価されているとして、かねてからEPAに対して最新の科学に基づき発がん性評価を正当に見直しするよう求めていた。
しかしながら、今回のRTRおよび新規制では最新の科学に基づいた正当な発がん性評価の見直しが行われたとは考えられず、またDPEの操業継続に重大な影響を与える内容となっていることから、DPEではEPAに対して、上記猶予期間の延長要請の提出を予定しているほか、新規制の見直しに向け、米国連邦控訴裁判所への提訴を含め、あらゆる措置を検討する。
なお、DPEは、2015年11月1日に米国デュポン社よりクロロプレンゴム製造事業等を譲受(取得)以降、一貫してルイジアナ州の排出基準を遵守して操業している。また、工場周辺における定期的な大気中の物質濃度測定を実施しており、環境対応に関する情報を、行政当局を通じて地域住民など関係者に提供している。加えて、ルイジアナ州環境品質局(LDEQ)およびEPAとの協議に基づき総額3500万ドル以上の自発的な環境投資を行い、排出削減設備を導入したことにより、2019年時点で2014年比85%のクロロプレンモノマーの排出量削減を達成している。
現在、DPEでは、新規制を精査するとともに、同件によるDPEのクロロプレンゴム製造設備の操業への影響および同社連結業績への影響等についても精査している。同社は、今後の精査などにより開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表するとしている。
2024年04月19日