島津製作所、Zef社買収 北米市場サービス強化

2024年05月09日

ゴムタイムス社

 島津製作所は5月7日、4月1日付で米国子会社のShimadzu Scientific Instruments(SSI社)を通じて、Zef Scientific(Zef社)の全株式を取得し、SSI社の子会社としたことを発表した。Zef社は、液体クロマトグラフ(LC)および液体クロマトグラフ質量分析計(LC―MS)の保守点検などのメンテナンス・サービスを手掛けている。同社は、Zef社の買収により、北米におけるアフターサービスの拡大と体制の強化を図る。
 分析機器には、消耗部品の交換や修理・点検といった据え付け後のアフターサービスが欠かせず、近年、医薬品業界では、品質管理の厳格化に伴い、製薬企業が社内に保有する分析機器について、製造元を問わず一社による一括したアフターサービス(マルチベンダーサービス、MVS)の需要が高まっている。特に北米では、効率的な装置管理を求めて多くの製薬企業が社外のMVS事業会社に機器管理を委託している。このためMVS市場の成長率は高く、同社の顧客からも同社製以外の分析機器を含めた一括メンテナンスの要望が寄せられてきた。
 Zef社は、LCおよびLC―MSのサービスを手掛けるMVS専業会社。幅広いメーカーの機器のメンテナンスが可能な人材とサービス網を持ち、製薬企業向けのアフターサービス市場で高い評価を得ている。SSI社は、Zef社の買収により、製造元を問わないワンストップサービスの体制を整えて、顧客の業務を効率化する。また、製薬企業が社内に保有する分析機器のメンテナンス履歴の管理を容易にすることで、製造工程における品質確保に貢献する。
 同社グループは、北米を分析計測事業における重点地域と定め、新たに開所したR&Dセンターを活用した事業を展開する。加えてZef社の買収により顧客への提供価値の幅を広げ、顧客満足度をさらに高めていく。同社グループは、先端ニーズに応える製品・技術開発と質の高いアフターサービスにより顧客にトータルソリューションを提供し、2022年度に510億円だった北米における売上高を、2025年度に700億円超まで伸ばす計画を立てている。

左からSSI前田愛明社長、Zef社Dr.Z.El Fallah創業者兼社長、島津製作所冨田眞巳分析計測事業部長

左からSSI前田愛明社長、Zef社Dr.Z.El Fallah創業者兼社長、島津製作所冨田眞巳分析計測事業部長

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