NOKは5月9日、ENEOSと、オイルシールなどのシール製品の摩擦を従来比最大約40%低減し、貧潤滑環境下でもこれまでと変わらない密封性を保つゴム材料「自己潤滑ゴム」を初めて共同開発したことを発表した。
「自己潤滑ゴム」の共同開発には約5年を費やしており、今月22日(水)よりパシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい)で開催される「人とくるまのテクノロジー展2024YOKOHAMA」にて初展示する。
環境負荷低減や電動化に伴い、使用される潤滑油の量は抑えられるようになり、潤滑油自体も低粘度化する傾向がある。また、モーターなどの高周速化も相まって、貧潤滑環境が助長され、シール部品が使用される環境は今後さらに厳しい環境になることが想定されている。
このような社会環境の中、ゴム材料の配合技術を得意とする同社と潤滑油の国内トップメーカーであるENEOSの両社で、2019年より「シール製品の潤滑性向上による低摩擦化」をテーマに共同研究をスタートした。
今回開発した「自己潤滑ゴム」は、ゴムの配合を工夫することで、分子スケールで界面を制御し、少ない潤滑油を効率よく活用することができる。「自己潤滑ゴム」にて試作したオイルシールは、これまでの同社の低摩擦オイルシールよりも平均して約30~40%摩擦を低く抑えられ、密封機能においては差がないことが実験にて実証できた。
「自己潤滑ゴム」を用いた製品は、低粘度の潤滑油や極端に油の少ない潤滑が難しい環境下においても、しゅう動発熱が低いことや、摩耗しにくいこと、劣化しにくいことなどが期待できる。今後、「自己潤滑ゴム」を用いた低摩擦シール製品を製品化し、電気自動車(EV)のモーターやeアクスルなどに搭載されることで、EVの電費向上に貢献していく。
2024年05月10日