住友ベークライトの24年3月期連結決算は、売上収益が2872億6700万円で前期比0・8%増、事業利益は274億5800万円で同7・9%増、営業利益は272億円で同9・6%増、当期利益は218億3100万円で同7・6%増となった。
セグメント別では、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、パソコン、スマートフォンなどの需要が世界的に低迷していることから、情報通信機器向けの販売の苦戦が続いているが、モビリティ用途ではEV向けの需要が鈍化したものの、HV向けの販売増により販売数量・売上収益は前期を上回った。感光性ウェハーコート用液状樹脂は、DRAM向けに回復の兆しが見えてきた一方、昨年の秋から在庫調整の局面に入り、売上収益は前期を下回った。半導体用ダイボンディングペーストは、LED向けの販売増加など、中国での拡販活動の成果が出始めたものの、台湾などの情報通信機器向けの販売不調により売上収益は前期を下回った。半導体パッケージ基板材料「LαZ」シリーズは、中国製スマートフォン向けの販売が順調に伸び、売上収益は前期を上回った。
高機能プラスチックは、売上収益が1014億100万円で同0・9%減、事業利益は53億200万円で同14・3%増。工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料は、国内および中国、アジア地区では自動車や電機部品向けの需要が堅調に推移したが、北米の自動車タイヤ用や欧州の建築断熱材用は十分な水準まで回復しておらず、売上収益は前期比では減少した。銅張積層板はエアコンを含む家電の需要が低迷しており、売上収益は大幅に減少した。航空機内装部品は、新型コロナウイルス感染症の終息による旅客輸送の増加にともない、航空機の生産機数の増加による旺盛な需要が期初から継続し、売上収益は大幅に増加した。
クオリティオブライフ関連製品は、売上収益は1021億8600万円で同0・1%減、事業利益は97億2300万円で同5・6%増。医療機器製品は、国内・アジア・米国向けの血液関連製品の販売が大幅に増加し、透析用ろ過装置も堅調に推移したことで売上収益は前期を上回った。バイオ関連製品は、新型コロナウイルス感染症の流行による需要が落ち着き、売上収益は減少した。ビニル樹脂シートおよび複合シートは、医薬品包装用途はジェネリック医薬品の在庫拡充を背景に好調を継続しているが、食品包装用途はカット野菜での需要が落ち込み、産業用途は中国を中心とした需要が足元は回復基調にあるものの、十分な水準まで回復しておらず売上収益は前期比で減少した。ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、サングラス用偏光板や車載用ヘッドアップディスプレイなどの高付加価値製品で販売数量を伸ばした一方、タブレットPC、電源アダプター向けの絶縁材や主力の国内建材用途、成型用産業用途の販売数量減により、売上収益は前期比で減少した。防水関連製品は、集合住宅向けが好調に推移し、売上収益は増加した。
25年3月期の連結業績予想は、売上収益が3090億円で前期比7・6%増、事業利益は300億円で9・3%増、当期利益は240億円で同9・9%増を見込んでいる。
2024年05月14日