アルカリ水電解パイロット試験設備 旭化成が本格稼働開始

2024年05月15日

ゴムタイムス社

 旭化成は5月14日、川崎製造所においてアルカリ水電解パイロット試験設備の本格稼働を開始し、2024年5月13日に開所式を開催したことを発表した。
 同社は水素関連事業において、水素製造装置・システムの開発を推進しており、世界で求められる100MW超級の水電解装置の提供を目指している。同設備は、商用機と同じサイズの電解セルを用いた4台の水電解モジュールで構成されており、各モジュールの運転負荷を変化させながら制御することで、水電解システム全体として最適な運用ができることを実証する。
 同社の水素関連事業は「中期経営計画2024~Be a Trailblazer~」において、10のGrowth Gears(GG10)の1つとして戦略的育成分野に位置づけられている注力事業。
 これまで、主な取り組みとして福島県浪江町、神奈川県川崎市、マレーシアにおける活動を実施・発表してきた。
 同設備は、2022年11月に着工し、2024年3月に設備の据え付け、および水素製造を伴う試運転を完了し、今回、本格的な実証運転を開始した。
 具体的には、電解槽のメンテナンス時やトラブル発生時における柔軟な運用や、夜間を想定した低出力運転など、さまざまな環境における設備挙動を再現する。これにより、機器設計や運用手法、制御技術の検証と改良に繋げていく。また、太陽光や風力といった再生可能エネルギー由来の変動する電力を再現できる設備設計としており、再生可能エネルギーとの連携や電力系統における調整力提供に向けた運用が検証可能となる。
 今後、同社は2025年よりアルカリ水電解装置の受注開始を予定しており、2030年近傍に1000億円規模の売上を目指している。世界の水電解槽導入容量は、2030年には累積で約300GWへ急拡大することが見込まれており、同設備で得られた知見を基に、複数の水電解モジュールからなる大規模かつ信頼性の高い水電解装置を電力、運輸、化学、製鉄分野などの幅広いユーザーに提供することで、脱炭素社会の早期実現に向けて貢献していく。

アルカリ水電解パイロット試験設備

アルカリ水電解パイロット試験設備

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