高分子事業不振で増収も減益 ユニチカの24年3月期

2024年05月15日

ゴムタイムス社

 ユニチカの24年3月期連結決算は、売上高が1183億4100万円で前年同期比0・3%増、営業損失は24億7500万円、経常損失は10億1400万円、親会社株主に帰属する当期純損失は54億4300万円となった。

 セグメント別に見ると、高分子事業の売上高は510億7400万円で同2・2%増、営業利益は6億300万円で同81・7%減となった。フィルム事業では、包装分野において、物価上昇の影響により食品類の消費量が伸びず、食品包装用フィルムの販売が減少した。一方、ハイバリアナイロンフィルム「エンブレムHG」は、高いガスバリア性能が評価され、販売が伸長した。
 工業分野においては、電気・電子用途の製品の製造工程で使用するフィルムを中心に販売が減少した。また、東南アジア市場においては、中国からの安価な競合品の流入により、販売単価が下落した影響で、 ナイロンフィルムの採算が悪化した。この結果、事業全体で増収減益となった。
 樹脂事業では、エンジニアリングプラスチックは、主に中国での需要低迷等の影響を受け、販売量が減少した。原燃料価格の高止まりを背景に価格改定を実施したが、販売減に伴い減産を行った影響で、売上高・収益ともに悪化した。機能樹脂は、接着剤・コーティング剤用途の販売が堅調であったほか、リサイクル素材などの環境配慮型素材の販売が伸長した。この結果、事業全体で増収減益となった。

 機能資材事業の売上高は342億600万円で同0・6%減、営業損失は24億7800万円(前期は5億3500万円の損失)となった。ガラス繊維事業では、産業資材分野は各用途で堅調な販売状況だった。電子材料分野のICクロスは、期末にかけて一部の半導体市況が回復した影響で販売は回復した。しかしながら、在庫調整のための減産によるコスト上昇が響き、収益性は悪化した。

 25年3月期の連結業績予想は、売上高は1200億円で前期比1・4%増、営業利益が30億円、経常利益が14億円、純利益は4億円を見込んでいる。

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