ADEKAの2024年3月期の連結決算は、売上高が3997億7000万円で前年同期比0・9%減、営業利益は354億2800万円で同9・4%増、経常利益は357億6300万円で同9・8%増、親会社株主に帰属する当期純利益は229億7700万円で同37・0%増となった。
化学品事業の売上高は2041億3000万円で同3・6%減、営業利益は236億9900万円で同9・8%減となった。樹脂添加剤は、自動車向けでは、自動車生産の回復が続き、光安定剤の販売が好調に推移し、核剤、高機能可塑剤の販売も堅調だった。建材向けでは、世界的にコスト高騰や工期の長期化を受け、床材をはじめ住宅内装材の需要が停滞し、塩ビ用安定剤の販売が低調に推移した。食品包装向けでは、上期にかけてサプライチェーンにおける在庫調整が続いたことや、安価な海外製品の流入が続いたことにより透明化剤の販売が低調だった。
ポリオレフィン樹脂に使用するワンパック顆粒添加剤や酸化防止剤は、景気減速の影響から中東・欧州での樹脂生産が低迷し、競争環境も激化したことから販売に苦戦した。難燃剤は、一昨年来低調が続いていた家電筐体等に使用するエンジニアリングプラスチック向けの販売が2023年末以降回復基調に転じたほか、ポリオレフィン樹脂向けもEVでの販売が拡大した。
樹脂添加剤全体では、販売数量の減少と固定費の増加により、前期に比べ減収減益となった。
情報・電子化学品は、半導体向けでは、先端フォトレジスト向け光酸発生剤の販売が拡大し、先端DRAM向け高誘電材料の販売も好調に推移した。一方で、旧世代製品向け高誘電材料の販売が世代交代の影響と顧客の減産影響を受けて低調に推移した。
ディスプレイ等のエレクトロニクス関連向けでは、パネル市況が回復し、カラーフィルター向け光重合開始剤の販売が好調に、ブラックマトリクス樹脂とエッチング薬液の販売も堅調に推移した。一方で、パネル生産の中国シフトが進み、光学フィルム向け光硬化樹脂の販売が低調だった。また、プリント基板に使用される電子部品用エッチング薬液の販売も低調だった。
情報・電子化学品全体では、先端半導体向け製品の販売好調とディスプレイ関連材料の持ち直しにより増収となった。利益は原材料価格の高騰、一部製品の販売価格下落に加え、設備投資に伴う固定費の増加もあり、前期に比べ減益となった。
機能化学品では、自動車向けでは、エンジンオイル用潤滑油添加剤の販売が、米国での採用拡大や世界的な自動車生産の回復を背景に好調に推移した。また、自動車の構造用接着剤向けエポキシ樹脂や車載用電子部品向けエポキシ樹脂接着剤の販売も堅調だった。建築塗料向けでは、反応性乳化剤の販売が、中国、インドでのシェア拡大を背景に好調に推移した。
化粧品向け特殊界面活性剤は、欧州を中心に需要低迷が続き、販売が低調だった。工業用途で使用されるプロピレングリコール類は海外市況の軟化により需給バランスが悪化し 販売が低調だった。過酸化製品は下期以降に市況が持ち直し、販売が堅調だった。機能化学品全体では、工業用薬品等の落ち込みを自動車向け材料や反応性乳化剤の販売拡大でカバーし、前期に比べ増収、僅かに減益となった。
25年3月期通期の連結業績予想は、売上高が4250億円で前期比6・3%増、営業利益が373億円で同5・3%増、経常利益が364億円で同1・8%増、純利益が230億円で同0・1%増を見込んでいる。