リベルタは5月21日、住友化学による世界初の固体ポリマー型温度調節材料「コンフォーマ」を用いた繊維と、ユタックスによる世界トップレベルの技術「冷感プリント」を組み合わせた、クーリングウェア「氷撃フリーズテック」の進化系となる「氷撃α(アルファ)」を、全国発売すると発表した。「氷撃α」は、日本発の冷感技術で構成されている。
これまでの冷感製品群は、たとえ接触冷感性に優れていても、冷たさを長時間持続させることは難しい、という課題があった。
今回の「氷撃α」は、従来製品から受け継がれた優れた接触冷感性に、新たに温調機能を加えることで、課題であった持続冷感性の向上を実現した画期的な製品となる。一番の特徴は、温調繊維の働きにより、衣服自体が温度を自動でコントロールすることとなる。(過酷な状況下においては温調の能力、範囲には限界がある)。
住友化学が独自の材料設計技術により開発したのが温調樹脂(コンフォーマ)となる。コンフォーマは樹脂成分の相転移による潜熱を利用できるように設計した新しいポリマーとなる。既存材料とは異なり、固体の状態を維持したままで吸熱と放熱を行うことができるのが最大の特徴となる。
コンフォーマは、ポリエステルやナイロンといった一般的な合成繊維と同様に溶融紡糸という方法で長繊維(糸)化を行い、衣服へ使用する。コンフォーマを使用した衣服を着用すると、環境温度に急激な変化がある場合でも、繊維自体の温度変化は緩やかに抑えられるため、快適な温度状態を長時間キープすることができる。
さらに、コンフォーマは原料の30〜40%が植物由来成分でできており、地球にやさしい未来の素材でもある。
2025年4月から開催予定の大阪・関西万博の住友館において、コンフォーマを用いた「氷撃α」の展示・販売も予定している。
コンフォーマと既存材料はともに、潜熱の原理を利用した温度調節材料である点で共通している。一方で、コンフォーマは固体のままで吸熱と放熱を行うのに対して、既存材料はそのものが固体⇆液体への状態変化を伴う点が大きな違いとなる。
コンフォーマは繊維材料としてそのまま使用でき、加えて繊維中に入れられる量が既存温度調節材料に比べて多いため、より高い温調効果が得られる。
ユタックス社「冷感プリント」は、裏地全面にエリスリトール、キシリトールを含有した特殊プリントを施している。 この”特殊冷感プリント”で処理した繊維が、人の皮膚から発生する汗を吸収すると、その吸熱特性により繊維の温度が下がり、冷感を付与する。
真夏の気温が高い状況下において、持続的な冷感効果を体感できるため、夏の屋内外での作業、アウトドア、スポーツ等、様々なシーンでの快適さを実現する。
FREEZE TECHの冷感氷撃プリントの洗濯耐久度評価試験では、50回洗濯後でも最大で「マイナス0・8℃」と、初期性能の約 70%をキープする高い洗濯耐久性がある。
当初は冷感ではなく、2005年ごろから女性下着関係を軸に「補強素材の代替機能」に特化したプリント加工や検証がはじまった。ランジェリーメーカー、ファストファッション系に流通していた。
その後、工場現場の技術を継承することで、それまで課題であった大量生産が可能になったがその道のりは容易ではなかった。
技術継承には想定を超える課題があった。目詰まりによるカスレ、厚みをしっかり持たした塗布をすることが非常に難しく、いっぽう検証時には、50mの反物がわずか 5・6分で消化されてしまう。そのような技術継承と検証は、工場の生産終了後に時間をとって行う。検証は夜遅くから開始し、早朝近くまでを繰り返し、大量生産が実現した。
その後、スポーツメーカーにも採用されるようになり、異業種へと販路を拡大していく。こうして機能衣料品としての需要があることを知り、新たな技術である、「冷感プリント」の開発が始まる。
「冷感プリント」の歴史は、2010年ごろから始まり、2013年には、ワーク業界、ランニング業界で少しずつ採用されていく。
そこから2016年ごろリベルタ社と出会い、本格的に「冷感プリント」の生産が始まる。「冷感プリント」の機能剤の1つであるキシリトールは、剤自体が溶けて効果を発揮する。そのため通常、溶けてしまうとそのまま水分で流出してしまうので、洗濯耐久性は絶望的に難しく無謀な挑戦に思われた。しかしその後「水分で反応するものを洗濯耐久性をもたらす」、というこの矛盾・課題を解決したことで、最も苦心したところであり、成功した点となる。またプリント剤が非常に乾燥しやすく、目詰まりを起こしやすいため、量産化も非常に苦労した。
そこから日々、技術躍進し、現在の冷感氷撃プリントとなっている。