デンカは5月21日、低誘電有機絶縁材料(製品名、スネクトン)生産のため、約70億円の設備投資を決定したと発表した。
同社が開発したスネクトンは、次世代高速通信(Beyond5G、6G)において、電気信号の損失(伝送損失)を低減させるために素材に要求される電気特性(低誘電率、低誘電正接)を備えており、既に各種高速通信機器の銅張積層板(CCL)や層間絶縁材用途などで、多くのユーザーより高い評価を得ており、今後大幅な需要拡大が見込まれる。
従来のエポキシ樹脂をベースとしたCCLでは、次世代高速通信用途としては伝送損失面で課題が有ったが、同社のスネクトンは要求される低伝送損失を実現したことに加え、軟質樹脂でありながら架橋性(耐熱性)も有する特徴を持つ最先端有機素材となる。また、完全硬化後も軟質性を有することから、フレキシブル銅被覆板(FCCL)への適用も可能で、PC、スマートフォン、データセンター、携帯電話基地局、ウエアラブル端末、自動車など幅広い分野での活用が期待される。
同社は2023~2030年度の8ヵ年を対象とした経営計画「Mission 2030」において、「ICT&Energy」分野では800億円の戦略投資枠を定めており、今回の投資はその中でも中核の1つと位置付けて実行する。
同社はこれからも、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学で、人々の暮らしと社会に貢献し続ける。
2024年05月23日