帝人フロンティアは5月23日、日差しを避け、風を通す「すだれ(簾)」に着目し、その構造を再現することで、高い通気性と紫外線遮蔽性を両立した新発想の高機能快適ポリエステル素材「爽多(そうた)」を開発したと発表した。
同社は、「爽多」を2025年春夏向けから、ファッション・カジュアル衣料用途の重点プロモート素材として販売を開始する。
近年、日本の夏は「猛暑」「酷暑」といわれるような気温の非常に高い日が続くことから、ファッション・カジュアル衣料用素材においても、暑さ対策の機能を持った素材の開発ニーズが増えている。
また、暑さ対策については、通気性、紫外線遮蔽性、ベトツキ防止性など、複数の機能のニーズが増加している。しかし、繊維間の空隙などによって発現する通気性と紫外線遮蔽性は生地においては相反する機能となるため両立が難しいとされていた。
こうした中、同社は、日差しを遮断しながら風を通す効果がある「すだれ」の構造に着目し、スリット状の高通気部分を設け、3次元的に隙間を空ける新発想の織物構造体とすることで、高い通気性を有しながら紫外線を遮断する、高機能快適ポリエステル素材「爽多」を開発した。
「爽多」の技術は、原糸技術と、製織技術、染色加工技術の3つ。原糸技術は、機能の複合化を可能にする特殊高捲縮化技術となる。
製織技術は、「すだれ」から着想を得た織物の経あるいは緯方向のどちらかに、スリット状の高通気部分を設け、3次元的に隙間を空けることで優れた通気性と紫外線遮蔽性を両立させた特殊構造体設計技術と、ストレッチ性やベトツキ防止性などの複合機能を付加する設計技術となる。
染色加工技術は、安定した複合機能が発現可能な染色仕上げ技術となる。
素材の特長は、通気性、紫外線遮蔽性、ベトツキ防止性、ストレッチ性 、環境対応の5つ。スリット状の高通気部分から空気を通す特殊構造体による高通気性で、通気度 50㎤/㎠・s以上となる。生地表面で紫外線の侵入を抑制することによる紫外線遮蔽性を持ち、紫外線遮蔽率 85%以上となる。糸の収縮差と特殊構造から生じる表面の凹凸によるベトツキ防止性、伸縮性繊維と特殊構造によるストレッチ性を持ち、再生ポリエステルとの交織による環境に配慮した生地設計となる。
2025年春夏向けからファッション・カジュアル衣料を中心に展開し、2024年度に 25万m、2027年度に75万mの販売を目指す。
2024年05月24日