住友化学は5月22日、米国の大手技術ライセンサーであるルーマス・テクノロジー社と、同社独自の環境負荷低減技術であるアクリル樹脂(PMMA、ポリメチルメタクリレート)の高効率ケミカルリサイクル技術のライセンス供与・商業化に関する協業契約を締結したと発表した。ルーマス社は同社技術に関し、独占的なライセンスパートナーになる。同協業により、商業化を加速させるとともに、グローバルなマーケティング展開により、世界各地での社会実装を目指す。
同社は、アクリル樹脂を熱分解し、原料となるMMA(メチルメタクリレート)モノマーに高効率で再生する技術を日本製鋼所と共同開発しており、2022年12月に愛媛工場(愛媛県新居浜市)に実証設備を稼働させている。同技術で再生したモノマーは、化石資源を原料とした材料と同等の品質で、従来品と比べて製品ライフサイクル全体のGHG排出量を60%以上削減できる見込。同技術は、25年度の商業化に向けた技術検証やマーケティング活動を先駆けて進めており、先般、同技術で製造したアクリル樹脂が、100%再生材としては、国内で初めてアクリルジュエリーに採用されるなど、着実に実績を積み上げている。
ルーマス社は高いマーケティング力およびエンジニアリング対応力があり、住友化学の革新的なPMMAケミカルリサイクル技術を、全世界のより多くの顧客に届けることが可能となる。なお、ルーマス社は、競争力の高いエチレン製造技術や、幅広いポリオレフィン製造技術を保有しており、同社技術と高い親和性があることから、同社が独自開発し確かな実績をもつ、低密度ポリエチレン/エチレンビニルアセテート(LDPE/EVA)製造技術においてもライセンスに関する協業契約を締結する。
同社は、経営として取り組む重要課題の一つに環境負荷低減への貢献を掲げ、ケミカルリサイクルをはじめとするプラスチックの資源循環に取り組んでいる。同社の革新的技術において、ライセンス協業を活用することで事業機会の最大化を図り、世界的な課題である環境負荷低減に向けたソリューションを提供していく。
2024年05月24日