PLA100%フリース試作など ハイケム、ハイラクト最新製品

2024年05月27日

ゴムタイムス社

 ハイケムは5月23日、3年の開発期間を経てPLA100%フリースの試作品が完成したと発表した。
 フリース素材は、現在は主にポリエステルから作られている。寒冷な環境下でも高い保温性を持つ点や、軽量性、メンテナンスのしやすさなどから、アウトドアウェアやスポーツウェア、日常の防寒具として広く使用されている。同社では、石油由来のフリースをバイオ由来のPLA繊維に置き換えることで環境負荷低減に繋がると考え、約3年前に開発に着手した。
 今回のコレクションではふんわりとした質感を持つボアフリースのジャケットと、軽量で着心地が良くスポーツシーンなどでも活躍するマイクロフリースフーディを発表する。
 フリース素材は製造過程において、染色後の生地を起毛することで、通気性と保湿性の高さ、ふんわりとした柔らかさや軽さを実現している。耐久性の高いポリエステルの代替として、耐久性や耐熱性が低いPLAを使用することは非常に難しい開発となり、幾度の失敗を繰り返し、3年の開発期間を経てターゲットに近い生地を完成させた。
 PLA生地の起毛を掻く際に生地が破れるという課題に対しては、糸の種類や組み合わせを変える、起毛剤を調整するなど様々な工夫を行っている。また、染色の際に高温をかけることで生地が固くなる課題に対しては、生地染色~起毛~仕上げの各工程における温度やスピードを調整するなど、細かい改善を重ねた。これらの課題については現在も改善改良を進めており、消費者にとってより快適で機能性の高いウェアをサステナブルな素材で実現できるよう、日々改善改良を行っている。
 ジーンズを1本作るためには、約7500リットルの水が必要になるといわれている。これは、人が7年かけて飲む平均的な水の量に相当するそうで、原料生育過程、加工工程での水使用量の多さなどがその主な原因となっている。デニム生地の主要原料がコットンであり、コットンの製造には大量の水と殺虫剤などの薬品が使われている。
 同社が岡山のデニムメーカーと共同で開発した「PLAデニム」は、縦糸にインディゴ染めのコットンを使用し、横糸にPLA100%の糸を使用することでコットンの使用量を削減している。また、チノ・カーゴパンツは通常はチノクロスといわれるコットンで作られているが、今回は風合いがコットンに近いスパン糸でPLA100%のチノクロス生地を完成させた。
 コットンの代替としてPLA繊維を使用することで、生地製造にかかる水と薬品の使用量低下に繋がることになり、PLAデニムやチノ・カーゴパンツが普段着として定着すれば、環境負荷低減に貢献することができる。
 ハイラクトでは、今年2月にPLA100%のスパン糸やフィラメント糸といった、ニット糸のコレクションを紹介したジェネラルブックをリリースするなど、PLAを使ったニット素材の開発に注力している。
 今回発表するフレンチスリーブプルオーバーは、PLAとテンセル混紡のサマーニット。テンセルは木材パルプを原料に作られる再生繊維で、木材は人の手で管理されている森林の木を使用し、環境負荷の低い製法で作られた繊維であり、PLAと同様に生分解性を有している。また、ソフトな風合いがPLAとも類似しており、混紡することで春から秋にかけて長く楽しんでいただけるニット素材を実現することができた。
 ハイラクトでは、PLA100%、テンセル混、コットン混、ウール混など、様々な風合いのPLAニットの開発を行っている。

ボアフリース

ボアフリース

マイクロフリースフーディー

マイクロフリースフーディー

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