日本ゼオンは5月27日、日本化学工業協会(日化協)が主催する第56回日化協技術賞において、技術特別賞を受賞したと発表した。
日化協技術賞は、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した事業者を表彰する制度で、「総合賞」「技術特別賞」「環境技術賞」の3賞が設けられている。
同社が受賞した技術特別賞は、「独創的技術あるいは改良技術で、科学技術の進歩に寄与したもので、比較的規模は小さくとも、独創的で技術的に優れたもの」が選出される。なお、同社が日化協技術賞を受賞するのは、第32回日化協技術賞、環境技術賞以来となる。
今回、受賞対象となったテーマは、「シクロペンタノン新製造法の開発と5員環ケミカルビジネスの構築」であり、C5留分から抽出するジシクロペンタジエン(DCPD)を出発原料とする全く新しいシクロペンタノン(CPN)の製造法開発と、これに付随する各種製品群の開発・製造・販売による産業発展への貢献が認められたものとなる。
CPNは、同社が得意とするC5総合活用ビジネスを成す重要な製品の1つであり、C5留分に含まれるDCPDを主原料としている。高い溶解力や乾燥性・回収性に優れた特性を活かし、半導体向け溶剤や合成香料原料に広くご利用いただいている。
今回の受賞対象となった新製造法は2004年に開発したもので、従来法に比べて収率が高く、且つ二酸化炭素発生を抑えた極めてクリーンなプロセスを実現している。
シクロペンタノン(CPN)は、純度99%以上であり、比較的に沸点が低く、単一物質の洗浄剤であり、乾燥性、回収性に優れるという特長がある。その他、リサイクル使用が可能であり、液管理が容易、生分解性が良好であり、毒性が低いという特長もある。
同プロセスの中間体であるシクロペンテンを原料として、開発・上市したシクロペンチルメチルエーテル(CPME)は、疎水性が高く、比較的高い沸点を持つことから、安全に取り扱える疎水性エーテルとして医薬品製造等の溶媒として幅広く利用されている。
この新製造法の開発と、同プロセスの開発を通じて確立した5員環ケミカルビジネスが、「半導体分野、香料分野、医薬品製造分野等の産業発展に大きく貢献する優れた取り組み」との評価を受け、由緒ある賞の受賞に至ったことは、同社としても大変な名誉となる。
同社は、今後も独創的技術の開発を通じて、安心で快適な人々の暮らしに貢献していく。
2024年05月28日