東レ・カーボンマジック(TCM)は6月4日、日本自転車競技連盟(JCF)トラック競技強化指定選手のトレーニングセンターとしてアスリートを強化、育成する High Performance Center of Japan Cycling(HPCJC) と共に、革新的なトラックレース用バイク「V-Izu(ブイ・イズ)」の2つのモデル「TCM-1」および「TCM-2」を開発し、5月12日に発表した。
今後、JCFが参加する国際大会などで使用される予定となる。
同社は、JKA「機械振興補助事業」に「自転車競技に関する機材の開発・改良・調査・研究」として2022年度から採択されており、HPCJCと共に世界最速を目指すトラックバイクの研究・開発を進めてきた。
開発において同社は、レーシングカーをはじめとした高性能移動体の開発技術を応用し、空力と構造の両面で自由な発想を以て、HPCJCが有する豊富な実戦経験と融合することで、独自のコンセプトを追求し、人車一体的な空力特性の最適化を行った。
また、高強度・高弾性を誇る東レの炭素繊維「T1100G」「M40X」「M46X」を効率的に配した複合材構造により、比類なき運動性能と操縦性を実現している。
初号機のTCM-1は、ブリヂストンサイクルのトラックバイク「TS9」「TE9」の高い空力性能を継承しながら、主に材料面と構造面をブラッシュアップしたプロトタイプとなる。同社はこの開発過程でトラックバイクについて多くの事を学び、世界最速に向けた研究・開発テーマや克服すべき課題が明確となるとともに、このバイクが性能指標のベースラインとなった。
TCM-1において基礎的な性能を確認できたことで、同社とHPCJCは、空力性能の向上を最重要テーマとした開発を展開し、TCM-2の開発を開始した。開発には、CFDや風洞試験など、同社が長年のレーシングカー空力開発を経て蓄積した知見がふんだんに活かされた。
開発過程においては、上記の各種試験やベロドロームでの実走評価を基に改良を繰り返し、空力性能を目標値以上に向上させることに成功した。また、特異な空力形状ゆえに製造難易度が高まった車体構造の最適化ではトライアンドエラーを繰り返し、最終的には東レの高性能炭素繊維を組み合わせることで、軽量かつ高剛性なフレーム・フォーク、エアロホイールを装備したTCM-2を創り上げることに成功した。
同社は、日本代表チームの活躍を応援するとともに、今後も技術の高みを目指し、勝利への貢献をめざしていく。
2024年06月05日