日本ゼオン㈱(古河直純社長)の子会社であるゼオン化成㈱(小倉由郎社長)は江蘇省常熟市「東南経済開発区」に瑞翁化成塑料(常熟)有限公司(ZKC)を 設立した。2012年初旬に塩化ビニル樹脂(PVC)を原料とするパウダースラッシュ材料(PSC)の生産開始を目指す。
ZKC(資本金500万米㌦)は拡大する中国自動車市場に対応して、安全、安価な自動車内装用材料を現地で供給するために設立、ゼオン化成のPSC開発営業部、日本ゼオンの加工品開発研究所と連携して市場の要請に対応する体制を充実させていく。
新工場は発達した交通アクセスに優れ、人材を含めて充実したインフラ環境を背景に国家レベルの自動車部品科学技術基地を目指す常熟市に立地し、第1期1 千~2千㌧の規模で低温特性を改良したPVCパウダースラッシュ材料(PVC/PSC)の生産を開始する。市場の拡大に伴い、第2期3千~4千㌧の生産規 模に拡大していく。
PVC/PSCは低温特性の改良によりインビジブル・エアバッグ・システム用表皮材への適応が可能となった。また、現行材料である熱可塑性ポリウレタンに 比べて意匠性・成型加工性に優れ、安価な樹脂であることから大幅なコストダウンが見込まれ、マツダ車における採用を始め、国内外の自動車メーカーで開発採 用検討が進んでいる。
PSCの主材料である塩化ビニル樹脂は原料の石油依存度が低く、可塑剤は植物由来の材料を採用しているため、環境にやさしい素材として見直されている。さ らに、高級皮革に近い感触が得られることから、欧米地域ではもちろん、中国市場でも大きく注目されている。ゼオン化成はPSC事業のグローバル化の第一歩 として、今後拡大する中国市場の生産販売拠点を構築し、中国自動車産業の成長に貢献していく。
2011年04月15日