出光興産は6月5日、京都大学発のスタートアップ Symbiobe(シンビオーブ)と、バイオ・ライフ分野における新規事業創出と協業(PJ)に向けた基本合意書を締結したと発表した。同PJは、光合成微生物の高機能化、培養、後処理に関する知見を持つシンビオーブ社との協業により、光合成微生物の大量培養技術を確立し、CO2などの温室効果ガス固定とグリーンバイオ資材製造の社会実装を目指すものとなる。これに伴い、実証設備を同社100%子会社である西部石油敷地内に導入する。
同社は、高機能材事業の重点領域の一つとして「バイオ・ライフソリューション」を設定しており、微生物の代謝を活用するバイオものづくりの事業化を検討している。
温室効果ガス固定とグリーンバイオ資材製造の社会実装のためには、生産効率の高い菌の開発、原料確保、大規模化が求められる。このたびの基本合意書締結で大量培養を目指すのは、光合成を行うことで温室効果ガスからアミノ酸などを製造する微生物(紅色光合成細菌)となる。微生物開発に高い知見を持つシンビオーブ社と石油化学で培ったプロセス技術とスケールアップノウハウを持つ同社の協業により、紅色光合成細菌の大量培養技術の確立を目指す。
シンビオーブ社は、菌株の開発・高機能化、グリーンバイオ資材の開発、同社は量産技術検討、生産性・採算性の検証を行う。
実証設備については、西部石油を最初の拠点とし、2024年度に量産技術確立に向けたベンチプラントを建設し検証を行い、2026年度より生産性・採算性の確認を行う小型商業プラントの建設を開始し、2027年度より実証を計画している。その後、国内・海外に複数展開を図る。
西部石油は、2030年代までに、地産地消型のカーボンフリーエネルギー供給・資源循環を担い、地域社会に貢献する地域産業ハブ拠点となることを目指している。同PJは、西部石油の事業転換コンセプトである「グリーントランスフォーメーション西部(GX西部)」における取り組みの一つとなる。
2024年06月06日