帝人フロンティアが開発 紡績糸オクタエスエフ

2024年06月10日

ゴムタイムス社

 帝人フロンティアは6月6日、特殊な紡糸・延伸技術を用いて、従来、困難であった中空8フィン断面の極細原綿を開発するとともに、この原綿に独自の紡績技術を活用することで極細中空8フィン断面紡績糸「オクタsf(エスエフ)」を開発したと発表した。
 「オクタエスエフ」は、ふくらみのあるソフトな風合いと優しく肌触りの良い着用快適性を有し、吸水拡散性や嵩高軽量性、保温性といった機能性も備える。
 同社は、「オクタエスエフ」を2025年秋冬の国内、海外のスポーツ・アウトドア向けの重点プロモート素材と位置付けて拡販を図っていく。
 近年のスポーツ・アウトドアウエアには、多様な機能性に加えて、ライフスタイルとの融合による、自然な風合いや優しい肌触り、ウォーム感などの感性や着用快適性を満たす素材のニーズも高くなっている。これらに対し、同社は、中空8フィン断面糸「オクタ」を活用して、汗処理機能や軽量保温性と着用快適性をあわせ持つ特殊構造体の「オクタCPCP」や「サーモフライ」をアウターやミドラー用途中心に展開している。そして、さらなる用途拡大のため、よりソフトな風合いや優しい肌触り、着用快適性が求められるベースレイヤーやインナー向けの素材開発を進めてきた。
 既存の長繊維異形断面糸では、単糸1本当たりの太さや原糸断面形状からソフトな風合いの追求には限界があるため、中空8フィン断面を持つ極細原綿とそれを使用した紡績糸の開発に着手した。しかし、中空8フィン断面形状を保持した極細原綿の開発は困難だった。
 このような中、同社は、独自の特殊な紡糸・延伸技術を用いることで、従来、困難であった中空8フィン断面の極細原綿を開発するとともに、この原綿に独自の特殊紡績技術を活用することで、ふくらみのあるソフトな風合いと着用快適性および、機能性を兼ね備える極細中空8フィン異形断面紡績糸「オクタエスエフ」を開発した。
 「オクタ エスエフ」の特長は、極細の中空8フィン形状の原綿を用いた紡績糸であるため、異形断面による空隙と、極細の紡績糸のやわらかさにより、独特なソフトな風合いと優しい肌触り、ナチュラルなふくらみやウォーム感を実現する。
 また、中空や8本のフィンによる吸水拡散性や、繊維間の空隙が生じるための嵩高軽量性、空隙間のデットエアーによる保温性といった機能性も備える。
 さらに、断面形状から得られる大きな単糸間空隙による混紡のしやすさにより、ウールや綿などの天然繊維や、リヨセルなどの他の合成繊維との混紡、同社が有する他のポリエステル機能性素材との組み合わせなどで多様な素材・製品展開が可能となる。
 製綿の工程では、特殊極細異形断面の製綿技術が使われている(極細異型断面を実現する口金設計、紡糸・延伸条件の最適化、易紡績性を向上する原綿の捲縮特性・油剤・カット長の最適化)。
 紡績の工程では、特殊紡績技術が使われている(工程通過性を向上する原綿混率、カーディング条件の最適化、紡績糸品位を高める原綿収束性向上の為の条件最適化 )。
 生機の工程では、構造体設計技術が使われている(用途に応じた適正な編組織、密度設定 )。
 染色加工の工程では、工程設計技術が使われている(高機能、高品位を実現する染色加工条件の適正化)。
 2025年秋冬のアウトドア・スポーツ向けへ「オクタエスエフ」を使用したテキスタイルの販売を開始し、その後、ファッション衣料などの機能性衣料向けへと幅広く展開し、2025年度に10万m、2028年度に50万mの販売を目指す。

オクタエスエフを使用したテキストタイル

オクタエスエフを使用したテキストタイル

極細異形(中空8フィン)原綿の断面写真

極細異形(中空8フィン)原綿の断面写真

オクタエスエフ混紡糸の断面電顕写真

オクタエスエフ混紡糸の断面電顕写真

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