合成ゴム特集 東ソー  CNF複合化のCR「SGシリーズ」 環境配慮型でベルト性能が向上

2024年06月25日

ゴムタイムス社

 東ソーの23年度におけるCR(クロロプレンゴム)を含む石油化学事業の売上高は1836億円で同10・9%減、営業利益は107億円で同11・4%減となった。
 CR業界全体が厳しい環境下、同社のCRもドライチップおよびラテックスは低迷だった。
ドライチップでは自動車用向けや工業用向け、接着剤も販売や数量が減少したほか、「想定以上に、中国や台湾の落ち込みが大きかった。ただし、通年でインドは堅調に推移した。全体的に需要に力強さが欠けていることが一番の要因だ」(同社)。その結果、出荷数量も落ち込み、販売面で為替の円安効果で落ち込み分を補ったものの、計画は下回った。
 ラテックスについては、在庫調整が続いている状況であり、「24年度の下半期から動きだすのではないか」との見方を示している。またラテックスの水系接着剤も、米国向けが住宅や家具関連の需要が一服したため、良くはなかったが、「欧州向けはドライチップよりは動いた」(同)とのことだ。
 クロロスルフォン化ポリエチレン(TOSO-CSM)は、通年で在庫調整の影響を受け、需要の落ち込みがCRよりも大きく、「特に欧州や米国の落ち込みが大きく、数量はCRより厳しかった」(同)という。
 今期の課題として、CRの需要環境が厳しい中、「今まではスポット地域と言われたエリアの販売もしっかりと取り込んでいく。例えば南米や中東エリアなどの販路を広げていく」(同)考えだ。
 トピックスでは、バンドー化学と共同で、炭素循環社会に貢献する「セルロースナノファイバー(CNF)」の複合化したクロロプレンゴム「SGシリーズ」を開発した。
 SGシリーズでは同社の独自技術により、CNFの持つ補強効果をゴム材料へ応用することが可能だ。 
SGシリーズについて、「ベルト性能の高さをさらに引き上げるために開発され、環境面も配慮されている。ようやく少量ながらもビジネスできる体制が整った。今後は量産体制の検討も進めていく。またベルト分野以外にも用途展開も探っていきたい」(同)。
 中計最終年度の24年度は、CRデボトルの2万t超規模の能力増強を決定する期であり「現在、厳しい時期だからこそ、CRの需要が回復したときに安定供給をできるようにしていきたい。機会損失を逃さないように判断していく」(同)としている。
 今期の上半期の見通しは、「厳しい環境であるが、しっかりと販売計画の達成に向け、伸びる分野や伸びるエリアに対して営業活動を取り組んでいく」(同)姿勢を見せている。

SGシリーズ

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