帝人、松山事業所に新ライン PC樹脂「パンライト」増強

2024年06月11日

ゴムタイムス社

 帝人は6月10日、次世代自動車における内装や車載機器の高品質化に対応するため、ポリカーボネート樹脂「パンライト」のシートおよびフィルムについて新しい生産ラインを立ち上げ、6 月17日より生産を開始すると発表した。新生産ラインは松山事業所内(愛媛県松山市)で、生産品目は「パンライト」シート・フィルム(単層・複層)、生産能力は年産1350トン。
 100年に1度の変革期とされる自動車業界では、自動車の自動運転化や電動化に伴い、車を移動手段としてだけでなく、快適な時間を過ごす空間とするため、内装のデザイン性の向上や車載機器の高品質化が進んでいる。自動車業界にとどまらず、近年需要が急拡大するVR/ARといった最先端の電気・電子機器などにも提案を進めることにより、同生産ラインで製造したシートおよびフィルムで2027年度には年間25億円の売上を目指す。同社は、ポリカーボネート樹脂からシート・フィルムまでの一貫生産をしており、熱劣化の少ない高品質な製品の生産が可能となる。既に、ポリカーボネート樹脂「パンライト」のシート・フィルム、「パンライト」とアクリル樹脂の複層シート・フィルムを光学機器向けに展開しているが、市場からの高品質化のニーズに応えるため、新たな生産ラインを立ち上げた。

 新生産ラインでは、従来品よりも平滑性や表面硬度に優れた厚み100ミクロンから500ミクロンのシートおよびフィルムの製造が可能となる。特に、シートやフィルムの製造工程で生じる微細な歪みなどを抑えた平滑性の高さは業界最高水準となる。
 さらに、加工が容易で複雑な形状にも対応可能な製品を生産できる。これにより、光学機器のデザイン性の向上や投影する映像の高画質化に貢献する。

 電気自動車などの次世代自動車では、光を透過して必要な時に情報を表示するタッチパネルや、フロントガラスに映像を投影するヘッドアップディスプレイといった光学機器の採用が増えている。光学機器には、耐衝撃性や透明性に優れたポリカーボネート樹脂のシートやフィルムが用いられており、内装デザインの多様性や投影する映像の美しさの向上につながる、高品質な製品へのニーズが年々高まっている。
 

 

「パンライト」シートおよびフィルム

「パンライト」シートおよびフィルム

松山事業所内の樹脂事業本部 松山生産部

松山事業所内の樹脂事業本部 松山生産部

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