Nature専門誌に論文掲載 三菱ケミら開発の計算手法

2024年06月11日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルグループ、慶應義塾大学および日本アイ・ビー・エムは6月10日、IBM Quantum Network Hub(慶大量子コンピューティングセンター内)にて「大規模な分子・固体のエネルギーを高精度で計算するための量子コンピューターを用いた新たな計算手法」を開発し、その論文が世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Quantum Information」に掲載されたと発表した。
 三菱ケミカル、慶大および日本IBMは、大規模な分子・固体のエネルギーを高精度で求めるために、問題分割法であるハイブリッドテンソルネットワーク(HTN)と高精度計算手法である量子モンテカルロ(QMC)を組み合わせた「HTN+QMC」、そして量子状態同士の重なりを量子回路上で効率的に計算する「疑似アダマールテスト」を開発した。
 これらの手法を用いてIBMのゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」上でフォトクロミックモデル分子のエネルギーを計算し、ノイズのないシミュレーターに匹敵する0・042±2・0milli-Hartreeという高精度で基底状態を求めることに成功した。
 この研究成果は、単体の量子コンピューターで扱えるサイズを超えた大規模な分子・固体の物性を高精度に解析する道を開くことが期待される。
 3者は、今後も、幅広い材料開発に用いるための量子コンピューターの技術確立を進めていく。

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