経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内の「化学品ワーキンググループ」は6月11日、関東・東海地区における共同物流実現に向けた実証実験を、2024年9月~12月にかけて、千葉県市原市と三重県四日市市を中継地点として実施すると発表した。
この実証実験では、輸送数量の多い関東・東海地区でデジタル技術を用いて、トラック・貨物の動態情報を共通のデータフォーマットに集積し、積載率、稼働台数、混載率などを可視化することで、最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォームの構築を検討する。将来的には、関東・東海地区における共同物流の実現、また日本全国に展開可能な輸送モデルの構築をめざす。
「物流の2024年問題」が象徴するように、物流の輸送・保管能力不足は、化学業界にとって深刻な課題となる。2030年には営業用トラックの輸送能力が34%不足すると試算されている。
化学品物流は貨物の物性・梱包形態・重量などの特殊性により、輸送方法・条件が多岐にわたり、またお互いが発荷主・着荷主という関係性があることから、個社単位での課題解決には限界がある。これまでのメーカー主導による共同輸送においても、各社が保有するデータフォーマットが異なるため、分析が難しく共同プラットフォームの実現は困難だった。
こうした問題の解決のため、同グループ事務局4社(三菱ケミカルグループ、三井化学、東ソー、東レ)の輸送データをもとに、共同物流に向けた実証実験を行うことにした。
同実証実験では、輸送数量の多い関東・東海地区で、デジタル技術を用いて、トラック・貨物の動態情報を共通のデータフォーマットに集積することで、積載率、稼働台数、混載率などを可視化し、最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォームの構築をめざす。
主な内容は、事務局4社の輸送について、ケースA(四日市-市原-東北)、ケースB(北陸-名古屋)の2つのモデルを設定、片道輸送の集約など共同輸送を開始し、トラックドライバーに貸与したスマートフォンタイプの端末から、トラック・貨物の動態データを収集する。
次に、デジタル技術と物流情報標準ガイドラインも活用しながら、データを共通のデータフォーマットに収集したうえで、積載率、稼働台数、混載率などを可視化し、分析を行う。
そして、分析結果をもとに、物流会社の協力を得て、最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォーム検討を行う。
今回の実証実験では、デジタル技術導入や標準化手法について、経験を有するベンダーから支援を受けるほか、政府の助成金も一部活用する計画で、2025年1月を目途に検証報告を同グループで行う予定となる。
また、今回収集したデータは、共同物流だけでなく、平行して検討している荷待ち・荷役時間の削減など政府のガイドラインに示された荷主事業者で実施が必要な13項目を中心に、鉄道や海上輸送などへのモーダルシフト、幹線やエリア集荷・配送などの物流協力、資機材・コードの標準化やペーパーレスなど物流デジタル化に活用する。
将来的には、日本全国に展開可能な輸送モデルの構築をめざすことで、物流におけるGHG削減や持続可能な物流の実現を通じて、日本の化学産業のサステナビリティに貢献していく。
2024年06月12日