旭化成、24年度下期より AIN基板サンプル提供開始

2024年06月13日

ゴムタイムス社

 旭化成は6月12日、子会社のCrystal IS社が製造する4インチ(直径100mm)の窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板(AlN基板)の使用可能面積が99%を超えてきたことから、国内外の半導体デバイスメーカーへのサンプル基板の提供を2024年度下期より開始すると発表した。
 AlNは非常に広いバンドギャップエネルギーを持ち、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失が小さく、耐圧が高いポテンシャルを有することから、エネルギー効率に優れ、次世代のパワーデバイスへの適用やRF(高周波)アプリケーションへの展開が期待されている。当社およびCrystal IS社は、サンプル提供を通じて社外のパートナーとのAlN半導体の研究開発を加速させ、実用化を進めていく。
 Crystal IS社が米国ニューヨーク州で製造しているAlN基板には欠陥密度が低く、紫外線透過性が高く、不純物濃度が低いという特徴がある。その特徴を活かし、これまで殺菌用途を中心としたUV-C(深紫外線)LEDでの活用を進めてきた。
 AlN基板の製造には2000℃以上となる昇華炉内部において精緻な温度コントロールが必要であり、これが基板のスケールアップ(大口径化)において最も難しい課題であった。Crystal IS社は1997年の創業以来、本分野のノウハウを蓄積し続けており、これまでも複数回のスケールアップを実現している。
 2023年8月には、従来の4倍の面積となるAlN基板の4インチ化に世界で初めて成功したことを発表した。昨年の発表時点では、使用可能領域は80%以上だったが、これまで改善を重ね、今回99%以上のAlN基板を実現した。今後、2024年度下期より、国内外の半導体デバイスメーカーへのサンプル提供を開始する。

過去に製造した使用可能面積90%のAlN基板(左)と今回製造に成功した同99・3%のAIN基板(右)

90%のAlN基板(左)99・3%のAIN基板(右)

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