プラスチック添加剤特集 加藤産商 バイオマス添加剤の提案強化 リグニンフィラーの取扱いを開始

2024年06月25日

ゴムタイムス社

 ゴム樹脂専門商社の加藤産商は、バイオマス素材を使った添加剤の提案に力を注いでいる。昨年開かれたIPF国際プラスチックフェアの同社ブースでは、バイオマス(植物由来)添加剤「ONEバイオシリーズ」とリグニンフィラーの「BioMotion」を前面に訴求した。
 ONEバイオシリーズは、イチネンケミカルズと共同開発したプラスチック用バイオマス添加剤。同シリーズには、トウモロコシ(工業用)由来の原料80%用いた「ONEバイオシリーズB―001」、植物由来の原料を10%使用し、再生PPを90%使った再生樹脂「ONEバイオB―001R―PP」、植物由来配合のPPレジン「ONEバイオPPー10B/PPー3B」「ONEバイオシリーズPPー10R/3R」を品揃えする。
 他のバイオマス素材に比べると、ONEバイオシリーズは導入のしやすさが最大の売り。材料全てバイオマスに置き換えると、コストが上がり、物性も変わり、金型も変える必要がある。一方、ONEバイオB―001は、ユーザーが使用中のPPやPEのペレットに混ぜるだけで、PPやPEのバイオマス度が向上。かつ物性も大きく変わらないため、「導入のハードルは低い」(同社)と話す。
 これまで日用品や化粧品容器などで採用されてきたONEバイオB―001だが、福井県の老舗駅弁業者「番匠本店」が3月に販売開始した「竜のめぐみ」の弁当箱の容器に採用された。「カラーコーンなど土木資材の分野でもテスト中で、引き続き各方面で採用に向けた働きかけを進めていく」(同社)考えだ。
 一方、UPM BioMotion™ RFFは、フィンランドのUPMキュンメネ社が開発した木質由来のリグニン素材のフィラーで同社が日本代理店を担う。世界13ヵ国に生産拠点を有する総合森林製品メーカーのUPM社は近年、木質由来のバイオケミカル事業にも注力。その一環としてドイツ・ライプチヒの近くのロイナに約1700億円を投じてバイオリファイナリー工場を建設中で、25年第2クォーター(4~6月)からこのUPM BioMotiontm RFFの量産開始(数万トン/年)を予定している。
 このリグニンベースのフィラーは、持続可能な方法で適切に管理された森林(ブナの樹)から木材をチップ化したものをフィラー化している。
 特長は、サステナブル(カーボンネガティブ)な素材で、LCA低減に大きく貢献すると同時に高純度と有毒物質PAH非含有・低硫黄分、さらに耐候性、近赤外線分離性、軽量化と補強性の両立も可能だ。
 用途はプラスチックやゴムの機能性フィラーとしての利用を見込む。プラスチックでは、PPやPS、PA6、PVCなど様々な原材料での添加実績(ラボレベル)を持つ。ゴムではカーボンブラックやシリカなど代替品として置き換えを目指している。[/hidepost]

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