日本インシュレーションは6月18日、日本TOYOと共同提案し、推進する事業「石炭火力発電所でのCO2排出削減を実現するための廃棄物・未利用バイオマス資源からのブラックペレット製造と石炭との混焼の国際実証(ベトナム)」(以下本プロジェクト) が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)の2024年度「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」第1回公募に採択されたと発表した。
募集事業の概要は、S+3E(安全性、環境適合+脱炭素化、経済性、安定供給)の実現に資する日本の先進的技術の海外実証を通じて、実証技術の普及に結び付ける。さらに、制度的に先行している海外のエネルギー市場での実証を通じて、日本への成果の還元を目指す。これらの取組を通じて、日本のエネルギー関連産業の国内外への展開、国内外のエネルギー転換・脱炭素化、日本のエネルギーセキュリティに貢献することを目的とする。
今回採択された提案内容の概要は、本プロジェクトは、廃棄物や未利用バイオマス資源を利用した燃料の実用化を目指すもので、加水分解技術を用いて、従来の技術ではブラックペレット化が困難な廃棄物や未利用バイオマス資源(EFB等)を高温・高圧の水蒸気で加水分解し、ブラックペレットを製造する技術の実証を企図している。廃棄物や未利用バイオマス資源から製造されたブラックペレットと石炭を混焼を実施した例がなく、実証が必要となる。今回採択されたのは、実証要件適合性等調査となる。
今後の予定として、約1年をかけてベトナムにおけるエネルギー事情、関連政策、ビジネス環境等の情報収集等を行い、実証研究の実現性及び普及可能性の検証を行う。本調査の結果をもとに、外部有識者によるステージゲート審査が行われ、本プロジェクトが実証研究対象として有望として認められれば、実証前調査に移行し、実証前調査をもとに事業化審査が行われ、審査通過後に数年かけて実証研究を行う。実証研究終了後、本格的に事業展開し、ベトナム及び日本における石炭火力発電所での普及に努め、これにより石炭消費量を削減し、カーボンニュートラルに貢献する。
加水分解設備について、これまで同社は、加水分解技術を保有する伸光テクノスと協力して、加水分解技術を用いて廃棄物や未利用バイオマスを有効利用するため、分解する対象物の探索や対象物に応じた効率的な反応条件の研究等を実施している。具体的な反応条件等の研究のため、同社岐阜工場には実験用の装置を設置しており、顧客からの要望があれば見学や相談にも応じている。
同社は、台湾企業での廃棄物処理のために、加水分解装置の納入を受注し、現地への搬入、据付を行ったところであり、今夏にも本装置は、連携するプラントとの一連の稼働確認を経て納入が完了する見込みとなる。
今後とも伸光テクノスと加水分解設備の開発・改良・設計・製造・販売を協力して行い、事業化につなげるとしている。
2024年06月20日