東ソーは6月21日、公益社団法人高分子学会より、2024年度「高分子学会技術賞」を受賞したと発表した。今回受賞した同社の技術は、「新規相溶化技術を利用したポリオレフィンへの接着」となる。
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィンは、高い耐薬品性や軽量性などの利点から非常に多岐に渡る用途で利用されており、世界で製造される全プラスチックの約半数を占めている。しかし、その化学的性質から接着特性が極めて低く、接着剤を用いて他の材料と組み合わせる場合には、接着性を補うためにポリオレフィンの表面を化学的に処理する工程が必要で、その工程の削減が課題であった。また、省エネルギーの観点から、接着温度の低減化も望まれていた。
これらの課題に対して、同社はポリウレタンをベースに設計された新規接着剤を開発した。本開発品をポリオレフィンに塗布し熱処理すると、両成分の界面で溶融混合するとともに釘状のポリオレフィン層が形成され、接着剤層へ食い込む。これにより、従来のポリオレフィンの表面処理工程を要すること無く、強固な接着強度を発現する事が可能となる。また、ポリウレタンの分子量を適切に制御する事で、接着温度の低減化にも成功した。
高分子学会技術賞は、高分子に関する技術全領域において独創的かつ優れた成果を挙げた個人またはグループに贈られる賞である。同社では今回の高分子学会技術賞の受賞を励みとし、持続可能な社会への貢献を目指して研究開発を進めていく。
2024年06月24日